実行力は、実務担当者として注目を集める要素だ。だが、経営陣の列に加わるための条件は「戦略的思考」である。
メールの対応や日々の火消し、ToDoリストの消化に追われ、目の前の実務に忙殺されていると感じているなら、それは時間管理の問題ではない。戦略的視点の欠如が原因だ。
ここでは、戦略的思考の本当の意味、それがキャリアアップに極めて重要である理由、そして今日から実践できる3つの具体策を紹介する。
「戦略的思考」とは何か(そして何ではないのか)?
「戦略的である」ことの真の意味については、よくある誤解が存在する。
筆者がコーチングを行っているリーダーの多くは、上司から「もっと戦略的になりなさい」とアドバイスされたものの、そこに到達するための具体的なステップや明確な道筋を提示されることは滅多にないと語る。
明確な成果とあらかじめ定義された期待値に基づいて具体的なタスクを実行することに慣れている実務担当者にとって、突然「もっと戦略的になれ」と言われても、困惑し、精神的に疲弊してしまうのも無理はない。
- 実務担当者のマインドセット:自分のタスク、自分の目の前の成果物、自分のチームの目標に集中する。
- 戦略的リーダーのマインドセット:自分の所属するグループにとどまらず、すべての決定が他部門、長期的なビジネス目標、そして全体の戦略にどのように影響するかを理解して考える。
単なるタスク管理から、相互に連結したシステム全体の理解へとシフトしたとき、あなた自身の価値提案は根本から変化する。
今日からより戦略的に思考するための3つの具体策
リーダーのように思考し始めるのに、新しい肩書は必要ない。以下の3つの習慣のシフトは、今すぐにでも実践可能だ。
1)決定を下す前に部門横断的な質問をする
新しいプロジェクトを立ち上げたり、ワークフローを更新したりする前に、一度立ち止まってこう問いかけてみよう。
「この決定は営業、オペレーション、財務、あるいは製品開発にどのような影響を与えるだろうか?」
他部門における摩擦の要因を予測し、会社全体に利益をもたらす解決策を提示できれば、即座に組織のリーダーとしての地位を確立できる。
2)「全体像」を整理するために毎週45分を確保する
1週間の100%をSlackのメッセージや受信トレイのリクエストへの対応に費やしていては、戦略的に考えることなど実質的に不可能だ。
戦略的フォーカスをカレンダー上の譲れない最優先事項(重要な石/Big Rock)として扱う必要がある。毎週金曜日の朝に45分間のタイムボックスを設定し(筆者はこれをストラテジー・フライデーと呼んでいる)、一歩引いて会社の上位目標を見直し、それに合わせて今後の優先順位を整理する専用の時間にしよう。
3)単一の課題ではなく、複数部門にまたがる解決策を提示する
自チームの目の前のプロセスにおけるボトルネックを指摘することなら誰でもできる。戦略的リーダーは、チーム間のリソースや潜在的リスク、そしてより広い組織的成果を考慮した提案を持ち込むものだ。
これを効果的に行うには、自部門の外の人々にアプローチして対話することだ。主導権を握って好奇心を高め、相手の視点を理解し、主な課題を把握した上で、自分のグループが協力して全体像を前進させる具体的な方法を見つけ出そう。
戦略的思考を身につけることは、単により良いビジネス成果を上げるためだけではない。日々の実務に追われる感覚を減らし、自分の時間をコントロールし取り戻すことでもある。目の前のToDoリストを超えて視野を広げたとき、職場環境に受動的に反応するのをやめ、自らそれを構築し始めることができる。



