空母不足が招く展開長期化
ジェラルド・R・フォードや今回のエイブラハム・リンカーンのような長期展開は、例外ではなく新たな常態になる可能性がある。米海軍に実戦配備されている空母は、全部で11隻しかないという事実は変わらないからだ。
合衆国法典第10編第8062条に基づき、米海軍は現役空母を少なくとも11隻保持することが義務づけられている。もっとも実際には、世界のどこかに派遣されているか、すぐに展開できる状態にある米空母は常に3~5隻にとどまる。こうした標準的な稼働態勢は米海軍の「最適化艦隊即応計画」に準じており、36カ月の即応サイクルを「3分の1の原則」で組み立てている。
3分の1の原則というのは次のようなものだ。3〜4隻の空母は前方に配備されるか、インド太平洋や地中海、紅海など戦略上重要な海域に展開する。別の3〜4隻は次の展開に向けて準備し、海上公試や集中的な訓練を行ったり、あるいは危機が発生した際に迅速に展開できるよう「増派即応」態勢を保ったりする。残る3~4隻は長期のオーバーホールや技術改修、運用期間半ばの核燃料交換のためドッグに入っており、ただちに戦闘任務に就ける状態にない。
米海軍が利用できる造船所は少なく、そこでは工期に遅延も生じているため、平時であっても3分の1の原則はかろうじて成り立っているにすぎない。
イランへの対処のため、米海軍は中東で空母2隻態勢を維持してきた。そのしわ寄せで、ほかの担任地域に回せる空母が不足している。その結果、空母の展開期間は長期化し、展開が長引けば整備にもより長い時間を要することになる。こうして悪循環が繰り返される。
ニミッツ級空母の最終10番艦で米東海岸に母港があるジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)も、3月31日に2026年の展開を始めてから、洋上にある期間はすでに200日に近づいている。アラビア海など第5艦隊の担任地域で対イラン海上封鎖作戦を支援してきた同艦は、10月初めにタイに寄港し、乗組員は休息の機会を得た。ジョージ・H・W・ブッシュが第5艦隊の担任地域にいつまでとどまるのかは不明だが、その展開期間もまた300日を超える可能性は十分ある。


