1989年11月11日に就役したエイブラハム・リンカーンは40年近くの間に、ペルシャ湾や太平洋地域などで数々の戦闘任務や人道支援任務にあたってきた。49カ月半にわたるオーバーホールを2017年に終えたあと、米海軍の空母として初めてロッキード・マーティンF-35統合打撃戦闘機の艦載型F-35Cを運用できるようにもなった。/p>
悪化していた艦内環境
エイブラハム・リンカーンの任務期間は2回延長された。長期にわたり母港を離れていたばかりか、8カ月半あまりの間にほかの港に寄ったのも2回だけで、その期間も短かった。このように港を離れた時間が長引いたことから、艦内の環境は理想とはほど遠い状態になった。
8月には、エイブラハム・リンカーンの乗組員たちはカビだらけのシャワーやトイレの詰まりに悩まされているほか、食料も足りず、さらに歯磨き粉、デオドラント、石けんといった日用品にもこと欠いていると報じられた。ヘグセスは、こうした報道をフェイクニュースと決めつけた。
しかし、その後もエイブラハム・リンカーンの艦内の状況は大きく報じられ、複数の乗組員が海に飛び込もうとしたことなども明らかになった。1人は実際に海に飛び込んだが、すぐに救助されたという。
この問題は米議員らの注意も引き、議員らは国防総省に対処を求めた。
米海軍は同じ月に、エイブラハム・リンカーンと交代させるため、唯一の前方配備空母で日本の横須賀を母港とするジョージ・ワシントン(CVN-73)を中東に派遣した。これは予想外の動きだった。1月のエイブラハム・リンカーンと同じくジョージ・ワシントンも当時、南シナ海で行動していた。それがアラビア海に移動した結果、米海軍は西太平洋で重要なアセットを欠くことになった。
現在、サンディエゴを母港とする別の米空母セオドア・ローズベルト(CVN-71)が中東に向かっており、月内に到着する見通しとなっている。セオドア・ローズベルトは7月、ハワイ沖で開催された2026年の環太平洋合同演習(リムパック)を主導したあと、8月の大半を次の任務に向けた準備に費やしていた。


