髪をそらずに脳波を測るチップを開発、100人超が学習データの収集に参加
帽子型端末を装着したまま脳波を測定するには、髪の毛と頭皮を通して信号を検出できるチップが必要だった。チャブラは、脳の電気活動を記録する脳波検査(EEG)について、「従来の方式では髪をそり、ジェル状のセンサーを使わなければならず、かなり面倒だ」と説明する。そこでサビは、髪をそらずに医療水準の精度で脳波を捉えられるという、独自のEEGチップを開発した。
チャブラによれば、意識的な思考は脳の表面から深さ2cm(0.7インチ)までの領域で生じる。例えばリンゴのことを考えると、脳内のわずか1平方mmほどの特定領域が活性化するという。どの神経活動がどの概念に対応するかを調べれば、「その人が何を考えているか分かる」と説明する。航空券の予約をAIエージェントに頼むような複雑な思考では、AIモデルが言葉として明示されていない内容を推定し、足りない指示を補うという。
思考をできるだけ正確に捉えて、不足する情報を補うには、大量の学習データが必要になる。そのためサビは100人を超える契約スタッフを雇い、頭に装置を着けた状態で、文章を読む、話す、考える、音声を聞くといった作業をしてもらった。同社は、帽子を使えば利用者が次に押す数個のキーや、ペンまたは水の入ったコップを手に取ろうとしているかどうかまで予測できると主張する。製品の提供は2027年以降になる見込みで、同年1月の家電見本市「CES」で披露する計画だ。
サビの帽子型端末は脳信号の検出精度が課題、専門家が実用化を疑問視
サビの帽子で、AIに任せたい作業を正確に伝えられるほど鮮明な脳の信号を捉えられるか、専門家は疑問視している。米シカゴ大学の神経学教授、ニコラス・ハツォプロスは、帽子のチップで測定する信号は頭蓋骨と頭皮を通るため、品質が落ちると指摘する。「AIから良い回答を得るための指示をキーボードで入力するだけでも手間がかかる。その上、脳から直接情報を取り出そうというのだから、実現はかなり難しいように思える」と語った。
コースラは、初代iPhoneが完璧ではなかったように、サビの帽子型端末も当初は完全には機能しないだろうと考えている。「初めは誤りをゼロにできないかもしれないが、徐々に減っていく。技術は役に立つところから始め、そこから進歩させていく必要がある」と話す。
チャブラは、構想が実現すれば可能性は無限に広がるとみている。「コンピューターはもはや、キーボードとマウスとモニターの組み合わせではない。利用者のために作業するAIモデルが中心になり、歩いている間もそばにいてくれるようになる」と語る。期待を寄せるのは富豪のVC投資家だけではない。サビの製品の順番待ちリストには、すでに1万人を超える人が登録している。


