文化はどう続いていくのか
第二部には、今年の受賞者に加え、第1回から第3回までの歴代受賞者、アドバイザリーボード、協賛企業や関係者ら100名以上が集った。

まず挨拶に立ったForbes JAPAN編集長の藤吉雅春は、約150年前、日本の工芸を海外へ届けた実業家・松尾儀助の話を紹介。松尾らが海外へ届けた日本の工芸品が、ゴッホをはじめとする欧州の芸術家たちに影響を与えたエピソードに触れ、「文化や感性は国境を越えて、リレーのように伝わっていくもの。この会場にはカルチャープレナー第1回から第3回までの受賞者にも集まっていただいた。ぜひ語り合い、お互いが何をしているのかを発見し、それぞれのクリエイティビティを磨いてほしい」と呼びかけた。
続いて登壇した文化庁長官の伊藤学司氏は、文化と経済の関係を「心臓」と「血管」にたとえた。文化によって利益を上げるだけではなく、文化という心臓から生まれたものを経済という血管を通じて社会へ届け、そこで生まれた活力を再び新しい文化へ戻していく。そうした「文化と経済の好循環」が必要だと訴えた。
乾杯酒には、今年の受賞者の一人、LINNÉ代表取締役で醸造家の今井翔也氏が手がけた「800 栗 -2025-」が、振る舞われた。今井氏は乾杯の挨拶で、「人の寿命を超えていくのが文化。今回受賞した皆様だけでなく、この場にいる皆様の力を結集して、次の文化を皆さんと共につくっていければと思います」と呼びかけた。
今年の特集「これからの文化論」の対談でも、東京藝術大学学長でアーティストの日比野克彦氏は「文化というのは、当事者にならないといけない」と話し、慶應義塾大学の宮田裕章教授はカルチャープレナーを「新しい文化が生まれ続ける価値生態系を編み直していく人」と表現した。共通しているのは、文化を現代の社会や市場の中で成立させ、そこで生まれた価値を次の文化へ循環させていくという考え方だ。
4年目に見えてきたもの
今回、授賞式そのもの以上に印象に残ったのは、歴代受賞者同士が自然に近況を報告し合い、次の仕事や新しい取り組みについて話していたことだった。「同窓会のようで、とても有意義だった」という声も聞かれた。
実際、このアワードでの出会いをきっかけに、分野をまたぐ協業や新しい取り組みがいくつも生まれ、その後も関係が続いているという話を何度も耳にした。

異なる領域の受賞者が出会い、その関係が一度きりで終わらず、新たな仕事や協働へと広がっていくことは、このアワードが大切にしてきたことのひとつだ。2023年のスタートから4年。今年の京都では、そうした広がりが、すでにいくつもの具体的な動きとして育っていることを実感した。
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