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北米

2026.10.09 08:58

米国労働市場の次なる課題、より良い仕事への「キャリア経路」をどう築くか

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今後10年間で、AIや自動化、人口高齢化といった経済的要因により、歴史上最大規模の労働力再編が引き起こされることになる。

米国では、将来的に仕事の数は現在よりも増え、その大半はより高い賃金が支払われるようになる。これは素晴らしいニュースだ。課題は、これからの仕事に必要なスキルを労働者が確実に身につけられるようにすること、そして、それをかつてない持続的な規模でいかに実現するかである。現状では、多くのスキルギャップや資格要件が障壁となり、労働者が必要な職種転換を行うのを阻んでいる。政府、企業、教育機関が、労働者がこれらの障壁を克服できるよう対策を講じない限り、経済成長は停滞し、労働者個人も不利益を被ることになる。

マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの新たな報告書『流動化する労働力:将来の仕事に向けたスキルとキャリア経路(Workforce in motion: Skills and pathways to future jobs)』によると、2035年までにAIや自動化によって約3600万件の仕事が消失する一方、AIバリューチェーンの成長や経済全体の拡大によって4000万件以上の新たな仕事が創出されるという。こうした流動化の大部分は同一職種内で行われる可能性が高いが、基本シナリオでは、約1100万人の米国の労働者が衰退しつつある職種を離れ、まったく異なる職種に転換する必要に迫られると予測されている。

これらの労働者の一部は、同一の職種グループ内にとどまることができる。しかし、大半を占める年間平均77万人は、現在から2035年までの間に職種の垣根を越える必要がある。これは、過去の年間平均である21万5000人の3.6倍に達する規模だ。COVID-19の時期にも同程度に高い水準の転職が生じたが、それは2〜3年に限られていた。

成長分野の仕事の約60%は、主に賃金水準の上位40%(上位2つの五分位数)に属している。増加する仕事の大半を占めるのは、ヘルスケア支援、医療・ヘルスケア、建設、および管理職の分野だ。

しかし、より良い仕事には、より高度なスキルと、一般的にはより高い教育水準が求められる。労働力の再配置は労働市場を高付加価値化(アップマーケット化)させ、新たな仕事にはこれまでとは異なるスキル、トレーニング、そして資格が必要になる。現在、雇用主が求人票に記載するスキルの数は、衰退する職種では平均47種類であるのに対し、成長する職種では68種類にのぼる。また、成長する職種の約84%が高等教育(大学や専門学校など)を必要とするのに対し、衰退する職種ではわずか45%にとどまっている。

転職を迫られる労働者のほぼ全員に、成長分野へのキャリア経路が少なくとも1つは存在する。しかし、最小限の再トレーニングで済み、収入を失わずに移行できる直接的な道筋を持つのは約7人に1人にすぎない。10人に4人はより曲がりくねった道筋に直面し、ほぼ半数は事実上、未舗装の道を進まなければならない。

最大の障壁となっているのが「必要とされる資格」だ。成長分野の職種の約85%で、何らかの免許や資格、証明書が求められる。その要件の約38%は法律で定められたものであり、安全性、法的責任、公衆の信頼が重視される医療・ヘルスケア、運輸、教育、エンジニアリング、公安などの分野に集中している。例えば、成長している医療・ヘルスケア専門職の96%で免許が必要とされている。しかし、成長分野の仕事の47%には法的要件が一切なく、雇用主が単に学位や資格、あるいは馴染みのある過去の職位を好んでいるに過ぎない。この区分は企業側の裁量によるものであり、見直しの余地がある。なお、資格がまったく不要な職種はわずか15%にとどまる。

「時間」もまた別の障壁だ。高卒の労働者が法的に義務付けられた資格を取得するには平均約32カ月かかるのに対し、大卒者であれば17カ月を投資することになる。ただ、この平均値の影には、職種による極端な差が隠されている。ヘルスケア支援の職務では必要な研修期間は平均6カ月未満だが、教育、エンジニアリング、医療専門職に必要なスキルとトレーニングを修得するには何年もかかる。

「資金」は、単なる賃金比較では見えてこない障壁だ。貯蓄が少なく、介護や育児などの義務を負っている労働者にとって、数カ月間にわたり収入が減少するようなキャリア経路を避けるのは、きわめて合理的な判断と言える。

さらに、他の制約がこれらの障壁を一段と強めている。成長分野の仕事の76%はリモートワークが不可能なため、ある地域では実現可能に見える転職も、必要なスキルや資格を持つ別の地域の労働者にとっては選択肢になり得ない。地理的な近さ、そして交通手段や物流といったインフラが重要になってくる。

最後に、これらの障壁は不均等に分布している。低賃金の労働者は、まったく新しい職種への転換を迫られる可能性が7.6倍も高い。さらに、賃金水準が最も低いグループ(最下位の五分位数)で直接的な移行経路が開かれているのはわずか10%であるのに対し、最も高いグループ(最上位の五分位数)では40%近くにのぼる。

今後10年間で、より強固な労働市場を築き、経済成長を加速させるためには、こうした障壁に対して組織的な介入を行う必要がある。人材を採用する企業は、肩書ではなく実証されたスキルに基づいて選考を行い、法律上の義務がない場合は学位や資格の要件を再考し、インターンシップ(徒弟制度)や研修の機会を設け、配置転換や社内採用率を追跡することができる。政府は、短期的な資格を積み重ねられるように資格制度をモジュール化し、過去の学習経験を正式に認定し、トレーニング費用やそれに伴う減収分を補償し、補助金を雇用の成果に連動させ、実現可能な移住を阻みがちな住宅、交通、育児の制約を緩和することができる。教育機関は、成長分野の職種が求めるスキルを養うプログラムを設計し、就職実績や賃金実績を公表することができる。

労働者の側にも、好奇心、適応力、そしてレジリエンス(回復力)を養うことが求められている。求人票における「AI対応力(AIフルエンシー)」への需要は、2022年以降11倍に跳ね上がっている。しかし、個人が自力で資格取得の期間を短縮したり、無収入となる1年間の生活費を全額自己資金で賄ったりすることは不可能だ。労働力の再編はすでに始まっている。キャリア経路を切り開き、AIや自動化などの影響を受ける労働者が新しい職種で良質な仕事に就けるようにすることは、経済上の必須課題である。

(forbes.com 原文)

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