HPEとジュニパーの合併を支持する人々は、この合併が米国の国家安全保障に関わる問題だと主張している。その理由として、この合併により、米企業が中国やロシアの企業、特に国際市場を席巻し、国家安全保障上の理由から米国での展開を事実上禁止されている中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と競争できるようになるからだ。有力な法律の専門家らも、もし司法省がこの合併に異議を唱えていれば、法廷で一笑に付されていたはずであり、同省の執行権限を損なう恐れもあったと指摘した。合併後の新会社が米市場で占める割合は30%にも満たず、過去の基準に照らしても、独占とは到底言えないとの見方もあった。
合併が承認されたことで、HPEとジュニパーは米政府機関や通信事業者、クラウドサービスプロバイダーに重要なネットワーク機器を提供できるようになり、これらの組織はサイバーセキュリティーや技術的な防衛力を強化できるようになる。技術を統合することで、米国の政府や企業は安全性の高いハードウエアを得ることになり、ロシアのサイバー攻撃に対する防御力も高まるだろう。
国家安全保障の専門家や政策立案者は、合併や買収がロシアのサイバー攻撃に対する米国の防御力をいかに高め得るのかを検討する必要がある。その評価の過程で、政府や企業にとって国家安全保障上の懸念が極めて重要であることが認識されることになるだろう。エネルギーと通信関連の組織を強化し、国内の管理下にあるネットワークを構築することは、執拗に続く外国からのサイバー工作に対し、米国民が自らを守る上で助けとなるだろう。
ロシアの情報機関が関与したとされる2024年のマイクロソフトや2022年のシェブロンに対する過去のハッキング事例は、この点を如実に物語っている。今後、米企業がサイバー攻撃を受ければ、国家安全保障上の侵害を招き、経済を脅かす事態になりかねない。したがって、サイバーセキュリティーは政府だけでなく、企業も優先課題とすべきだ。
トランプ政権のサイバー部隊編成計画は、時宜を得た取り組みと言えよう。この計画が成功すれば、大手企業もこの戦略を採用すべきだ。政府と企業の連携と協力は、各機関のサイバーセキュリティーを強化し、ひいては米国の国家安全保障や作戦上の有効性を高めることになる。これにより、中国やロシアといった外国からの脅威に対抗する上で、米国は強固な立場を確保できるようになる。また、HPEとジュニパーの合併のような民間企業の統合を承認することが、米国にとって単なる商業的な判断にとどまらず戦略的な決定でもあるということが、これで説明できるだろう。


