ドナルド・トランプ大統領は米国時間10月8日、スペースXを率いるイーロン・マスクやエヌビディアのジェンスン・フアンCEOらテクノロジー界の重鎮にアメリカ国家科学賞を授与した。マスクとフアンは大統領のAIに対する不干渉を基本とする政策を支持してきた。
科学賞4人・技術賞2人で計6人、トランプが通算2期で初めて授与
同賞が授与されるのは、マスクとフアンに加え、アルファベット共同創業者のセルゲイ・ブリン、AMDのリサ・スーCEOの4人だ。
また、デル・テクノロジーズ共同創業者のマイケル・デルと、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOにはアメリカ国家技術賞が授与される。
受賞者はいずれもビリオネア(マスクの場合はトリリオネア)であり、なかでもマスク、デル、ブリン、フアンは世界の上位7人の富豪のうち4人を占めている。
2度にわたるトランプ政権を通じ、これらの賞が授与されるのは今回が初となる。
今回の授与は、技術的進歩に焦点を当てた8日のサミットの一環として行われる。先月にはトランプと複数のテクノロジー企業トップが会談し、社内の監視チームや独立監査人の設置など、AI開発に関する法的拘束力のない安全対策を求める自主的な「スーパー・インテリジェンスに関するホワイトハウス協定」に署名していた。
この協定には、マスクとフアンのほか、メタのマーク・ザッカーバーグCEO、アンソロピックのダリオ・アモデイCEO、グーグルのスンダー・ピチャイCEO、OpenAIのグレッグ・ブロックマン社長らが署名した。これはAIの専門家が人類存亡に関わるAIのリスクに警鐘を鳴らしたことを受けて署名されたものだが、主要なAI企業による自主規制に委ね、公的な説明責任から逃れているとして批判的な声もあがっている。
7日時点のマスクの資産額は推定1兆ドル(約160兆円)に上り、デル(約45兆1200億円)、ブリン(約42兆2400億円)、フアン(約32兆8000億円)など今回賞を受け取る他のビリオネアを大きく引き離す。
科学者やエンジニアに与える最高の栄誉
アメリカ国家科学賞は、政府が科学者やエンジニアに与える最高の栄誉とされている。過去には「動く遺伝子」を発見した細胞遺伝学者のバーバラ・マクリントックや、携帯電話回線網やWi-Fiの基盤となる計算式を考案したクアルコム共同創業者のアンドリュー・ビタビなどが受賞した。同賞の候補者は大統領が任命する委員会によって審査される。
2025年にトランプと対立したマスクも受賞
今回同賞が与えられたマスクとトランプは約1年前には対立する関係にあった。当時のマスクは、トランプの「One Big Beautiful Bill Act(1つの大きな美しい法案)」を痛烈に批判し、大統領から政府との契約打ち切りをちらつかされたほか、トランプがエプスタイン文書に関与しているとして非難していた。



