人工知能(AI)が仕事の進め方を変えつつあるなか、企業には、人々が経験を積み、スキルを磨き、長期的なキャリアを築く方法を再考する機会が訪れている。
人材育成月間(Workforce Development Month)が終わりを迎えるにあたり、課題は依然として残されている。すなわち、リアルタイムで変化していく仕事に向けて人々をどう準備させ、同時に企業が必要とする人材をどう育て続けていくか、という問いである。
数十年にわたり、キャリアの初期段階にある従業員は、基礎的な業務をこなし、同僚から学び、時間とともにより大きな責任を担うことで、スキルを築いてきた。AIがその業務の一部の進め方を変えるなか、企業は従業員が経験を積み、能力を発揮し、専門職としての成長を続けられる機会を創出することに、これまで以上に意図的でなければならない。
バンク・オブ・アメリカでは、従業員のライフサイクル全体を通じてアップスキリングとリスキリングに投資している。新しいツールを認識する段階にとどまらず、経験、コーチング、マネジャーの支援を通じて従業員が実践的な能力を身につけられるようにし、そのスキルを新たに生まれる機会へどう応用できるかを見極めている。企業には、すばやく貢献し、変化に適応し、新しいテクノロジーを効果的に活用できる従業員が必要だ。研修はその答えの重要な一部だが、雇用主は同時に、潜在能力をどう見極め、人材をどう育て、労働市場への有意義な入り口をどうつくるかも再考しなければならない。
当行の人材育成への取り組みは、従業員の成長にとどまらず、未来の人材をどう築くかにまで及ぶ。バンク・オブ・アメリカは最近、今後2年間でさらに1000人のアプレンティス(見習い)を雇用し、5年間で全米の人材育成組織に1億5000万ドル(約237億円)を投資する計画を発表した。これらの取り組みは、長期的なキャリアへのアクセス拡大、人材育成パイプラインの強化、そして明日の仕事に必要なスキルを築く個人の支援に寄与するだろう。
パートナーシップがかつてなく重要な理由
強固な人材育成パートナーシップは、こうした取り組みの助けとなる。研修を実際のビジネスニーズに結びつけながら、機会への道筋を広げることができるのだ。
企業は、自社のビジネスに必要なスキルを理解している。
人材育成組織は、準備、コーチング、人材へのアクセスを提供する。両者が協働すれば、仕事への道筋をより明確にし、企業と働き手の双方にとってより良い成果を生み出すことができる。労働市場のニーズが変化するなか、緊密な協働は不可欠である。企業が人材育成パートナーとつながり続けることで、学びが新しいテクノロジーや新たに求められるスキルに追いつくことができる。こうした関係性は、準備を実際の機会と結びつけ、企業、働き手、そして地域社会にとってより強力な成果を生み出す。
バンク・オブ・アメリカとイヤー・アップ・ユナイテッド(Year Up United)のパートナーシップは、このアプローチが何を達成できるかを示している。2006年にひと握りのインターンから始まったこの取り組みは、現在では18州に広がっている。2019年以降、バンク・オブ・アメリカは4000人を超えるイヤー・アップ・ユナイテッドのインターンを受け入れており、昨年は同行のイヤー・アップ・ユナイテッド・インターンの76%が正社員へと転換した。
これらの実績は、単にプログラムの規模の大きさを示すだけではない。企業が人材育成に長期的なコミットメントを示し、研修が労働市場のニーズと一致しているときに何が可能になるかを示しているのだ。
イヤー・アップ・ユナイテッドのような組織は、機会への道筋を切り開くと同時に、企業が変化する労働市場の需要とともに適応できる人材パイプラインを構築することを可能にする。
企業が変えられること
企業には、従来の資格要件を超えて、スキル、潜在能力、適応力に基づいて人材を見出す機会がある。
企業は人材を探す場を広げ、学びを従業員が実際に担うことになる仕事とより密接に結びつけるべきだ。役割が変化していくなか、従業員もまた、新たな能力を築き、既存のスキルを新しい形で活用する機会を必要としている。
テクノロジーがあらゆる職務に及ぼす影響のペースは一様ではない。自社の労働力と人材育成パートナーに緊密につながり続ける企業は、仕事がどのように進化しているか、そして実際のビジネスニーズを反映した学びの機会をどう創出するかを、より的確に理解できる立場に立つだろう。
リーダーシップが果たすべき責務
キャリア初期の育成がもつ価値を守るためには、異なる種類の業務を創出し、コーチングやメンターシップの機会を広げ、非伝統的な背景をもつ人材をより積極的に検討する姿勢が求められるかもしれない。
成功する組織は、単に最新のテクノロジーを導入した組織ではないだろう。テクノロジーへの投資と、人材育成への同様に強いコミットメントを両立させた組織こそが成功するのだ。
今年の人材育成月間、企業には人材について異なる考え方をする機会がある。議論の焦点は、今日の仕事に人々を備えさせることにとどまってはならない。テクノロジーが進化してもなお価値を持ち続けるスキルを人々が築くのを支援することこそが、議論の中心であるべきだ。
イヤー・アップ・ユナイテッドとのパートナーシップは、人材育成に長期的なアプローチをとることの価値を示している。アプレンティスシップや人材育成組織への投資と組み合わせることで、こうした取り組みは人材パイプラインを強化し、長期的なキャリアへのアクセスを広げ、絶えず進化する仕事の未来により多くの人を備えさせる助けとなるだろう。



