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キャリア

2026.10.12 14:30

成婚率8割の植草美幸が語る結婚の本質。AI時代に人を結びつける理由

植草美幸|婚活アドバイザー

北野:植草さん自身がテレビやSNSに出ることも、そのためでしょうか。

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植草:私は自分が有名になりたくてメディアに出ているわけではないんです。公に向けた発言には責任が伴いますし、世情について勉強する時間も必要です。その時間にひと組でも多く成婚させたいと思うこともあります。それでもメディアに出るのは、婚活を身近に感じてもらい、相談所へ足を運ぶきっかけをつくりたいからです。私ひとりが現場で頑張るのでは届く人数に限りがあります。結婚や婚活は明るく楽しいものだと伝え、発信を通じて婚活アドバイザー全体のレベルも上げたい。それが自分に与えられた任務だと思っています。

毎日変わる人の心に寄り添う力

北野:お話を聞いていると、とても経営者的です。一方で、植草さんは今も現場のプレイヤーであり続けています。

植草:この仕事は会員をドッと増やして、会社を大きくしようと思えばできます。でも、私はそれをやりたくない。今も自分で会員さんを見ていますから、受け入れられる人数に限界があります。会社が大きくなっても、私が仕事に意義が感じられずに楽しくなければ意味がないんです。

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北野:植草さんが「このふたりだ」と見抜く決め手は何でしょうか。

植草:社員からも「なぜ、この人とこの人なんですか」と聞かれますが、ひとつの要素では説明できません。どれだけ多くの人に会ってきたか。知識、キャリア、経験、そして勘を全部重ねて判断します。

その人たちから、どれだけ深く話を聞いたかも大事です。どんな仕事をして、何を目標に働き、何に苦労しているのか。働き方によって生き方は変わるでしょう。その気持ちがわからなければ、どんな相手と合うかもわかりません。

北野:結婚において、仕事観は大事なんですね。

植草:あとは子どものころに何を習っていたのか、中学受験を決めたのは誰か、塾の送迎は誰がしたのか。兄弟はどんな人と結婚したのかも聞きます。結婚はふたりだけの話に見えて、婚約が近づくと家族の問題になることもありますから、親子関係も聞きます。その人がどんな家庭で育ち、何を当たり前だと思っているのか。親がこれからどこまでかかわるのか。そこまで見なければ本当のマッチングはできません。

北野:条件表を照合する作業とはまったく違います。

植草:人は条件だけではわかりません。たとえAIで条件を組み合わせることはできても、人の心は毎日変わります。今日はこういう人がいいと思っても、明日は違うかもしれない。人は成長もするし、衰えもする。その時々の心を見るのは、人でなければ難しいと思います。

時に、会員さんはこちらの想像を超えることを言います。そこで怒ったり、情けないと切り捨てたりしてはいけない。まず感情的にならずに聞く。気持ちを受け止め、なだめ、次へ進めるようにする。強い言葉をぶつけられても、「なぜ、そういう気持ちになったの」と寄り添う力が必要です。最後に人を結ぶのは人なんです。

北野:マッチングアプリなど出会いの手段は増えました。それでも「婚活疲れ」や非婚化が語られ、生涯未婚率は上昇を続けています。

植草:出会いのツールが増えても、生活圏そのものが分かれていれば簡単には出会えません。地方へ講演に行くと、大学進学で都市へ出た女性がそのまま就職し、地元には家業を継ぐ男性が残っているという話をよく聞きます。

もうひとつは、使う人の価値観がバージョンアップされていないことです。女性は高学歴、高収入になり、男女平等も進みました。それでも結婚相手には「自分より年収が高い男性」を求め、一方で家事は同じだけしてほしいという人が多い。もちろん一人ひとり事情は違いますが、現場ではズレをよく感じます。その前提を手放せれば、組み合わせはずっと増えるはず。以前なら想像されなかった、女性のほうが年上で収入も高い「尊敬婚」も私は勧めています。

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文=神吉弘邦、北野唯我 写真=桑嶋 燦

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