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教育

2026.10.11 09:30

AI時代に必要な学びとは 教育現場を変革する20代起業家たち

AI時代を迎え、教育の本質的な意義やあり方にパラダイムシフトが起きている。「良い教育」を探究する起業家たちが考える、未来を拓くために必要な学びとは。

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「生成AI時代の教育はどうあるべきか」「教育現場で人間が果たすべき役割は何か」。今夏、教育関連の研究機関や教育現場ではAIと教育に関するシンポジウムや研修会が数多く開催された。AIの急速な普及は教育のあり方を問い直している。

そんななか、教育現場を動かす20代起業家の存在が際立ってきた。テクノロジーとともに生まれ育った彼らは、AI時代にどんな教育が必要だと考えているのか。本稿では教育事業を手がける20代起業家3人への取材をもとに、この問いを紐解いていく。

キーワードは「自己効力感」「DoとBeの探究」「主体性」だ。

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地域密着型の塾が自己効力感をもたらす

教育産業の市場規模は縮小傾向にある。矢野経済研究所が2024年10月に発表した調査では、23年度の教育市場の規模は前年度比0.7%減の2兆8,331億7,000万円だった。24年度は0.7%増と反転したものの、苦境に立たされているのが中小の学習塾だ。東京商工リサーチによると、25年の学習塾の倒産件数は55件と過去最多を更新した。

少子化などの影響で淘汰が進むなか、中小の学習塾や予備校のアップデートに取り組む22歳の新星がいる。25年10月設立の教育スタートアップ、トキツカゼを率いる谷津凜勇だ。

谷津は異例の経歴の持ち主だ。23年4月に東京大学へ進学するも、すぐに中退してカリフォルニア大学バークレー校に進学し教育科学を学んだ。誰もがうらやむエリート街道を歩みながらも、「教育事業にフルベットする」ために中退。現在は教育スタートアップの経営に全力投入している。

なぜ、谷津は学習塾や予備校に着目したのか。背景には、「自分はできる、自分なら社会を変えられるという自己効力感を養えていないことが、日本社会に希望を抱けない若者の多さにつながっているのではないか」という課題認識がある。

自己効力感を奪ってきたもののひとつが、従来の日本の教育のあり方だと谷津は分析する。「これまでの教育業界は、勉強する過程には目を向けずに、点数や偏差値などの結果だけで生徒に序列をつけてきた。このことが、大多数の人たちに失敗体験をもたらしてしまいました。AIの登場によって勉強が『できる』ことの価値はほぼなくなるなか、勉強が『できるようになる』という過程の価値はむしろ高まっています。自己効力感をもつ若者を増やすには、試行錯誤をしながら学んで結果が出たという成功体験が重要です」(谷津)。

学校の先生は忙しくて個別に伴走することはできない。唯一それができるのは、生徒一人ひとりを観察し、それぞれに適切なサポートをしている地域密着型の学習塾や予備校だと谷津は考えている。だが、そうした事業者には、高齢化に伴い気力が減退し、黒字でも「これ以上は続けられない」と悩むオーナーが多いという。

そんな塾や予備校をサポートするために設立したのがトキツカゼだ。トキツカゼでは、教育に対する考え方や生徒との向き合い方に賛同できる塾を選定し、事業承継やM&A(企業の合併・買収)を通じて子どもたちの自己効力感を育む教育インフラの構築に取り組んでいる。創業から半年で、すでに集団塾や個別指導塾など3件をM&Aした。

トキツカゼ▶︎2025年10月に設立された教育スタートアップ。学習塾や予備校の事業承継や、教育関連企業向けコンサルティングサービスなどを手がける。

谷津凜勇◎東京大学を経て、カリフォルニア大学バークレー校で教育科学を専攻。リクルートや教育スタートアップなどで事業開発を経験したのち、グローバル教育を手がける一般社団法人「52Hz」を共同創業。探究学習支援や総合型選抜対策などを牽引し、自社を黒字化。同業者が休廃業していく業界の現実に直面し、教育業界のアップデートを志してトキツカゼを起業。
谷津凜勇◎東京大学を経て、カリフォルニア大学バークレー校で教育科学を専攻。リクルートや教育スタートアップなどで事業開発を経験したのち、グローバル教育を手がける一般社団法人「52Hz」を共同創業。探究学習支援や総合型選抜対策などを牽引し、自社を黒字化。同業者が休廃業していく業界の現実に直面し、教育業界のアップデートを志してトキツカゼを起業。
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文=瀬戸久美子 イラストレーション=アンドリュー・ナイ

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