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教育

2026.10.11 09:30

AI時代に必要な学びとは 教育現場を変革する20代起業家たち

「事業承継やM&Aは、あくまで同じ理念をもつオーナーや先生たちに寄り添い、時代に合わせてアップデートする手段のひとつです。先生たちが生徒の指導に集中できる環境をつくることがトキツカゼの役割だと考えています」(谷津)

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具体的には、「稼ぐ力」を強化するための戦略の策定や事務作業のDX化、マーケティングの支援まで、オーナーに代わって経営と現場の両輪をサポートする。個別に伴走することで企業価値を上げるのと同時に、先生と生徒の対話の質を高め、教育の価値をより発揮できる状態にする。

26年1月には、Link Capitalおよび教育領域に知見を有する個人投資家などからシードラウンドでの資金調達を実施した。31年のIPO(新規上場)を目標に掲げ、同じ理念を掲げる学習塾の集合体として大手に比肩する存在を目指すという。

「健全な教育ビジネス」とは何か

谷津は生粋の「教育探究者」だ。高校1年生のとき、読書教育をテーマに児童書を紹介するフリーペーパー「月あかり文庫」を創刊し、1年後には子どもたちが「自立した読者」になることを目指すNPO団体Dor til Dorを設立。読書教育に関する情報発信や研究活動に没頭した。高校3年時には全国学芸サイエンスコンクールで文部科学大臣賞を受賞している。

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教育への探究心は大学入学後も続いた。東大在学中にはカタリバやETIC.で中高生のメンタリングや教育プログラムの企画運営などに従事し、渡米後はSchooで新規事業の立ち上げなどを牽引した。「自分の手で人生のかじ取りができる人を増やしたい」という思いから、24年にはオンライン海外大学進学支援コミュニティ「52Hz」を共同創業し、事業開発と収益化を主導した実績もある。

NPOとスタートアップを行き来しながら、教育ビジネスの社会的インパクトと経済的合理性の両立を模索してきた。そんな谷津が目指すのは、「健全な教育ビジネスを発明する」ことだ。

「集客のときの訴求価値、教育の提供価値、生徒や保護者の価値実感の3つが一致した状態でスケールできれば、新時代の資本主義社会を規定する『健全な』ビジネスになると考えています」(谷津)

トキツカゼという言葉には「時節にかなった風」という意味がある。自分たちが起点となり、今の時代に必要だと考える教育を社会に広げていく。「長期的な仮説検証を通じて、子どもたちの自己効力感を高めながら、健全に利益を生み出せる事業モデルを模索し続けることが使命です」(谷津)。

中小規模の学習塾が数を減らす一方で、存在感を増しているのがフリースクールやオルタナティブスクール(KEYWORD 01参照)だ。文部科学省によると、24年度の小・中学校における不登校児童生徒数は過去最多の35万3,970人で、12年連続の増加となった。

この流れのなかで、瀬戸内エリアから教育事業を広げているのが無花果グループだ。小・中学生を対象にした「無花果フリースクール」と、生徒一人ひとりの高校生活をオーダーメイドでつくる通信制サポート校「無花果高等学園」を中心に複数の事業を展開している。

代表を務めるのは、岡山県倉敷市生まれで29歳の中藤寛人だ。経営者でありながら自ら教育の現場に入り、子どもたちとかかわりながら「良い教育とは何か」を日々模索している。

無花果グループ▶︎2023年4月に創業。無花果株式会社とNPO法人無花果の2つの形態を通じて、よりよい教育を届け続けるために活動している瀬戸内発の教育系カンパニー。

中藤寛人◎1997年、岡山県倉敷市生まれ。岡山大学在学中に起業。藤田酒店で組織改革や新規事業創出に従事したのち、コノテに参画。教育事業責任者としてフリースクールと通信制高等学園を立ち上げる。2022年11月にNPO法人無花果を設立し、理事長に就任。23年4月にコノテからのMBO(経営陣による買収)を通じて無花果株式会社を設立し、代表取締役に就任。
中藤寛人◎1997年、岡山県倉敷市生まれ。岡山大学在学中に起業。藤田酒店で組織改革や新規事業創出に従事したのち、コノテに参画。教育事業責任者としてフリースクールと通信制高等学園を立ち上げる。2022年11月にNPO法人無花果を設立し、理事長に就任。23年4月にコノテからのMBO(経営陣による買収)を通じて無花果株式会社を設立し、代表取締役に就任。

KEYWORD 01
オルタナティブスクール|公立学校でも私立学校でもない「第3の学び場」のこと。それぞれのスクールが考える教育理念やカリキュラムに基づき、子ども一人ひとりの個性や主体性を尊重した多様な学びのスタイルを提供する。

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文=瀬戸久美子 イラストレーション=アンドリュー・ナイ

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