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2026.10.08 09:09

「失敗」を忘れよ:イノベーションこそがCX変革への道

Adobe Stock

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AIツールが期待に届いていないという報告は、誰もが耳にしたことがあるだろう。こうした統計から目をそらすのは難しい。組織の95%が生成AI投資からまったくリターンを得られていない。ガートナーは、エージェント型AIプロジェクトの40%超が2027年末までに中止されると予測している。そして組織は、概念実証プロジェクトの46%を、本番環境に移行する前に断念している。

企業がROIの創出、少ないリソースでより多くを成し遂げること、そして経営幹部に対するAIの価値証明という高まるプレッシャーに晒されているなか、これらの数字から悲観的な見方をするのは容易だ。しかし、こうしたAIのつまずきが、実はまったく「失敗」ではないとしたらどうだろうか。変革への道のりに必要な一里塚だとしたらどうだろうか。

選択肢となるAIツールが多すぎるため、多くのブランドはどこからどう始めればよいか分かっていない。解決したい課題と、AIがどう役立ち得るかについての構想はあるが、何がうまくいき何がうまくいかないかは不確かなことが多い。

それで問題ない。

顧客サービス技術のリーダーとして私が見いだしたのは、顧客体験(CX)を真に変革するには、イノベーションの文化を育て始めることが重要だということだ。実験を支援すると口にするだけでなく、それを現実のものにするための手を打つべきである。現場レベルから経営陣まで、従業員は新しい考え方を発想し、探求するよう促され、権限を与えられるべきだ。

自社にとって本当に有効なツールを知る唯一の方法は、有効ではない多くのツールを試し、実験し、そして失敗することである。効率が何より重視される時代において、これは耳の痛い話かもしれない。しかし私は自身のキャリアを通じて、実験に時間をかけることこそが変革への最善の道であると学んできた。

何もしないという選択肢はない

実験的なマインドセットを受け入れるのは容易ではない。実験には時間と費用、そして不確実性が伴うため、イノベーションに全面的に踏み込むのは難しい。さらに、ブランドの評判を損なわないことは依然として最重要であり、それがイノベーションをいっそう難しくしている。

しかし、一般社員から経営幹部に至るまで、組織のメンバーが新しいツールを試し、新しいプロセスを検証し、新しい考え方を探求することを奨励すれば、自社にとって何が本当に最善であるかを見いだすことができる。

イノベーションがなければ、CXは現状維持にとどまりがちであり、成長を目指すブランドにとってそれは選択肢ではない。何もしないことの代償は大きすぎる。顧客の期待は急速に変化しており、CXを適切に提供できないブランドに対して、顧客はほとんど、あるいはまったく忍耐を示さない。最近の調査によると、消費者の72%はたった1度の悪い体験で競合に乗り換える。一方、Zendesk Benchmarkのデータでは、60%があるブランドで購入したことがある理由が、受けられると期待するサービスだけだったことが示された。

だからこそ私は、こうした高まり続ける期待を上回る最善の方法は、開拓者精神を持つことだと考えている。真のブレークスルーは、いくつかのつまずきや失敗なしにはほとんど生まれない。

一部の先進的なブランドは、実験を企業構造の中に深く組み込んでいる。チックフィレイ(Chick-fil-A)のイノベーションセンター「Hatch」、キャピタル・ワン(Capital One)のイノベーションアクセラレーター「Garage」、小売業ジョン・ルイス(John Lewis)の実験ラボ「Room Y」などがその代表例だ。しかし、実験的なマインドセットは、大規模である必要も、気後れするようなものである必要もない。小さく始めてもよいのだ。

イノベーションを生む従業員は、権限を与えられた従業員である

まずは、文字通りにも比喩的にも、実験のための余地をつくることから始めるべきだ。従業員が集まってブレーンストーミングを行い、アイデアを話し合い、互いにフィードバックし合える物理的なワークスペースを設ける。デスクや通常の職場環境から連れ出すことで、創造性を解き放つことができる。

自分の仕事に誇りと活力を感じている従業員は、顧客が期待するシームレスな体験を提供する力をより備えている。私の経験では、CXを「研究室」のように運営することは、従業員を活気づけ、権限を与える優れた方法である。しかし、リスクが大きすぎると感じれば、彼らは自由にイノベーションを起こそうとは思わない。新しいことを試す間、安心感を得られる必要があるのだ。社内のイノベーションラボや小規模なパイロットプログラムなど、失敗が致命的にならない範囲で、人々が発想し、実験できる場をつくるべきだ。適切なガードレールがあれば、従業員はより安心して限界に挑戦できるようになる。私の経験では、真のイノベーションが起きるのはまさにその瞬間である。

スケジュール管理やコンプライアンス要件が一定の硬直性をもたらすCXのような規律の厳しい業界では、イノベーションのための余地を従業員の1日の中につくることも重要である。業務上の他の要求から離れ、実験に集中できる時間を、1日または1週間の勤務時間の中に組み込むべきだ。

従業員に対して、意図した成果につながらない概念実証やテストがあっても問題ないことを伝えるのを忘れてはならない。それらは失敗ではなく、学習プロセスの一部にすぎない。これはイノベーションの増加につながるだけでなく、従業員エンゲージメントの向上にもつながり得る。ギャラップの調査では、強い目的意識を持つ従業員は、目的意識が低い従業員と比べて、仕事に対するエンゲージメントが5.6倍も高いことがわかった。

イノベーションの加速と、従業員の幸福度の向上。これはどのCX組織にとっても、双方にメリットがあるウィンウィンの関係である。

目的意識が重要である

イノベーションを育む文化は重要だが、実験のためだけに実験しても効果は見込めない。新しいツールやプロセスを、ただ試すためだけに試してはならない。従業員と顧客のためになるからこそ、試すべきである。

従業員にそれらを試す許可を与える前に、ツールが付加価値をもたらす可能性があるかを見極める必要がある。新しいテクノロジーはほぼ毎日のように市場にあふれ出ている。存在しているからといって、試す必要があるわけではない。

実験には意図を持つべきである。自社のCXと従業員体験を改善する大きな可能性を持つものを探求する。そして実験を進めながら、自らに問うべきだ。成功とはどのような状態か。自社の正確なニーズを満たす適切なツールはすぐに見つかるかもしれない。あるいは、より可能性が高いのは、最適なものにたどり着くまでにいくつかの選択肢を排除せざるを得ない、曲がりくねった道のりになることだ。

(forbes.com 原文)

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