中国政府はさらに深い関与を望んでいることを明らかにしている。習主席の訪問中に、製造業、人工知能(AI)、供給網などに関する約20件の新たな協定が結ばれた。両国政府は通貨スワップ取引を含む、金融面での大規模な連携についても合意した。
両国の関係は経済分野にとどまらない。エジプト空軍は最近、中国人民解放軍との合同軍事演習を2年連続で実施した。この演習では、中国の戦闘機、給油機、早期警戒機がエジプトの基地に展開され、空中戦の戦術や捜索救助の訓練が行われた。言い換えれば、米国の財政的な支援に大きく支えられているエジプト空軍が、米国の主要な戦略的競争相手である中国軍と合同で訓練を行っているのだ。
エジプトにとって、こうした「東」へのかじ切りは戦略的に理にかなっている。10年前、サウジアラビアが独自の計画を打ち出したのと同じ年、アブデルファタハ・シシ大統領率いるエジプト政府は2030年に向けた展望を発表した。これは、産業、社会基盤、物流、エネルギー、デジタル経済を軸とした野心的な国家発展戦略だ。
こうした重点的な取り組みにより、エジプトは中国が10年以上にわたり発展途上国への進出の足掛かりとしてきた巨大経済圏構想「一帯一路」で、一翼を担う存在となった。エジプトの2030年に向けた展望では、スエズ地域を経済再生の原動力へと変革する計画が示されている。中国はこうした取り組みを支援することが可能だと明言している上に、米国の援助に伴う統治や透明性、人権に関する厄介な条件を課すことなく実施できるとしている。
確かに、エジプトにとって米国の支援や資金提供は重要だ。しかし、エジプトの地政学的な立ち位置は定まっているという米政府が長年前提としてきた見方は、もはや当然のこととは言い難くなっている。近年の中国による積極的な働きかけが、この状況を確実にしつつある。


