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2026.10.08 12:00

情報戦で狙われる「報道機関への信頼」──真偽不明の主張が「事実」に見える仕組み

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イランの撃墜否定や伝説のエース──証拠が不確実なままであっても第一報が参照される

近年のいくつかの紛争は、この問題を浮き彫りにした。2020年1月、ウクライナ国際航空752便がイランのミサイルにより撃墜され、乗客乗員176人全員が死亡した。イランはこの事実を3日間にわたって否定したが、その後、方針を転換し、誤って撃墜したと認めた。

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2022年2月、ウクライナのゼレンスキー大統領は、スネーク島(ズミイヌイ島)に駐留していた守備隊がロシア軍と英雄的に戦って全滅したと発表した。しかし、4日後にウクライナ海軍は守備兵たちがロシアに捕虜として拘束されていることを認めた。また、「キーウの幽霊」と呼ばれるウクライナ空軍のエースパイロットの噂は、ウクライナ当局の公式アカウントがその存在を裏付けるような投稿を行い、英紙タイムズがパイロットを特定したうえで敵機を40機撃墜したのち戦死したと報じたが、これは誤報だった。しかも、ウクライナ空軍は「キーウの幽霊」そのものが架空の人物であることを認めた。

信頼に値する報道機関が1度伝えた情報は、たとえ証拠が不確実なままであっても、その後の報道では第一報が参照される。こうして繰り返し報じられることによって、時として完全なる虚偽情報さえもが検証されることなく、信憑性を獲得してしまう。

イラク戦争前の新聞記事で、匿名情報の出所が不明瞭になる「情報ロンダリング」が発生

その結果、「情報ロンダリング」と呼ぶべき状態が生じる。利害関係者から発信された主張がジャーナリストに伝わり、他の報道機関に引用され、当局者によって補強されるのを繰り返すうちに、やがて情報の出所が不明瞭になってしまうのだ。

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2003年に始まったイラク戦争は、今もって典型的な事例である。2002年9月8日、米紙ニューヨーク・タイムズは匿名の政府高官を情報源として、イラクがウラン濃縮用にアルミニウム管の輸入を試みていたと1面で報じた。同日朝、チェイニー米副大統領(当時)は米NBCの報道番組「ミート・ザ・プレス」でこの記事を引用し、イラクのサダム・フセイン大統領(当時)に核開発の野心がある証拠だと主張した。だがニューヨーク・タイムズは2004年、「編集部より」と題した記事で、同紙の情報源がイラクの政権交代を求める亡命者や脱走兵らに偏っていたことを認めた。ニューヨーク・タイムズの信頼性の高さが、実際の証拠に代わって報道内容の信憑性を担保してしまっていたのである。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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