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2026.11.06 16:15

税理士に聞いた「年金、何歳からもらうのが得」? 意外なワナは『手取り額』だった

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平均余命と照らし合わせると?

では、実際に私たちは何歳まで生きるのでしょうか。厚生労働省の「令和7年簡易生命表」によると、65歳の人の平均余命は男性19.68年、女性24.52年です。つまり、65歳を迎えた人は平均して、男性で84歳8カ月、女性で89歳6カ月まで生きる計算になります。

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これを先ほどの損益分岐点と比べてみましょう。

・70歳まで繰り下げた場合(分岐点81歳11カ月):男女とも、平均的には分岐点を超えて長生きするので得をすることになります。

・75歳まで繰り下げた場合(分岐点86歳11カ月):女性は平均的に超え得をしますが、男性は平均では届かず損をします。

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・60歳から繰り上げた場合(分岐点80歳10カ月):男女とも平均的には分岐点を超えるため、総額では65歳開始より少なくなり損をすることになります。

額面だけで見れば、「遅らせるほど得」という通説には一定の根拠があると言えます。ちなみに、繰上げ・繰下げの率は本来、「平均余命まで受け取れば、何歳から受け取っても総額がほぼ同じ」になるよう設定されるものです。2022年には平均余命の延びを受けて繰上げの減額率が0.5%から0.4%に見直されましたが、繰下げの増額率0.7%は据え置かれました。ただし、ここで2つ注意が必要です。1つ目は、平均はあくまで平均だということです。ご自身が平均より長生きするか、早く亡くなるかは誰にもわかりません。2つ目は、ここまでの計算はすべて「額面」の話だということです。実は、この額面の計算には大きな落とし穴があります。

額面と「手取り」は違う

以前の記事で、年金は「雑所得」として所得税の対象になるとお話ししました。年金が増えれば、所得税だけでなく住民税も増えます。さらに、国民健康保険料や介護保険料も増えるのです。つまり、繰下げで増えた年金は、その一部が税金と保険料として差し引かれます。これを先ほどの式に組み込んでみましょう。増えた年金のうち、税金と保険料で差し引かれる割合をrとすると、

取り戻す月数=1÷(0.007×(1-r))

となります。仮に増えた年金の2割(r=20%)が税金と保険料に消えるとすると、

1÷(0.007×0.8)≒179カ月(約14年11カ月)

です。70歳から受け取り始めた場合の損益分岐点は、81歳11カ月から約85歳に後ろ倒しになります。3割(r=30%)なら約17年、つまり約87歳です。額面では「平均的には得」だった70歳繰下げも、手取りで見ると平均余命とほぼ同じか、損してしまうのです。なお、rの値は人によって大きく異なります。他の所得の有無、扶養家族の状況、そしてお住まいの市区町村の保険料率によって変わるからです。上記の2割、3割はあくまで説明のための仮定の数字です。これが、「年金、一体何歳からもらうのが得?」の答えを難しくしている1つ目の理由です。

もう1つ、税理士として付け加えたいのが確定申告との関係です。公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下であれば、原則として所得税の確定申告は不要です。しかし、繰り下げて年金額が増えると、この400万円を超えて確定申告が必要になる場合があります。確定申告はe-Taxなどで、自分で簡単にできるようになってきましたが、「増えたら確定申告といった手続きも増える」ということになります。

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