イルクーツク州のイゴリ・コブゼフ知事は先週、地域の防疫担当者やロスポトレブナドゾルの長官と緊急会議を開き、メッセージアプリ「テレグラム」上で、地域の住民に「特に危険な感染症の疑い」が生じたことに対する対応を協議したと説明した。その上で、公衆衛生当局が「包括的な防疫措置」を講じたと強調した。他方で、同知事は「危険な感染症」の原因については触れなかった。一方、隣接するブリャート共和国のアレクセイ・ツィデノフ知事は、この女性が「ペストで死亡した可能性がある」としつつも、同共和国内では感染は報告されていないと説明した。
米ニュースサイトのアクシオスは4日、同研究員の死亡とロシア当局が講じた緊急隔離措置に関する情報を米ホワイトハウスが注視していると伝えた。米政府関係筋は同メディアに対し、ドナルド・トランプ政権は「事態を把握しており、感染拡大の状況を監視するとともに、対応策を検討している」と語った。米国務省は5日、米ABCニュースに対し、「ロシアのイルクーツク州で肺ペストの疑いがある死亡例が報告されたことを把握している」とした上で、米疾病対策センター(CDC)をはじめとする関係機関と緊密に連携し、状況を注視していると説明した。
記者から「ペスト流行の可能性」について懸念しているかと問われたトランプ大統領は「懸念している」と答え、「病原菌は以前より強力になっており、かつて肺炎に有効だった治療法も効きにくくなっている」と指摘した。同大統領は、この問題についてロシアのウラジーミル・プーチン大統領とはまだ話し合っていないことを明かした上で、同国を「支援する」意向を示したが、具体的にどのような措置を講じるかについては詳述しなかった。
世界保健機関(WHO)によると、ペストは病原体であるペスト菌によって引き起こされる人獣共通感染症だ。ペスト菌は通常、げっ歯類などの小型哺乳類や、それらに寄生するノミに生息する。最も一般的な病型である腺ペストは、菌を持つノミに刺されることで動物から人間へと感染し、「横痃(おうげん)」と呼ばれるリンパ節の痛みを伴う炎症を引き起こすことがある。一方、頻度は低いものの、はるかに毒性が強く、呼吸器飛沫(ひまつ)などを介して人から人へと感染し得るのが肺ペストだ。肺ペストは早期に発見・治療しないと致死率が極めて高くなる。


