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2026.10.06 10:13

TAM(最大市場規模)を把握しても、なぜパイプラインが埋まらないのか

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ほとんどのB2Bスタートアップの創業者は、市場規模の課題を抱えてはいない。彼らは自社が支援するカテゴリーを理解している。自社のTAM(獲得可能な最大市場規模)に該当する企業の規模、役職、そしてバイヤーペルソナも把握している。TAMに関するプレゼンテーションスライドは通常、見栄えが良い。なぜなら、そのレベルでは、ほぼすべてのB2Bのアイデアが実際の事業規模よりも大きく見えるからだ。

問題が始まるのは、創業者が市場規模を「営業への準備が整った状態(セールスレディネス)」と同等に扱ってしまうときだ。

筆者自身もこの過ちを犯したことがある。リストを作成し、メッセージを執筆し、パイプラインが自然に形成されるのを期待していた。書類上では条件に合っていたが、返答は少なかった。「興味深いが、優先事項ではない」と言う見込み客もいた。商談に応じたものの、変わるべき実質的な理由を持たない相手もいた。

彼らは市場の中にはいたが、動いてはいなかった。アウトバウンド営業の多くは、そこで行き詰まる。

TAMは市場の推計値であり、営業計画ではない

TAMは、追求する価値があるほど機会が大きいかを創業者が理解する助けになる。だが、どこから売り始めるべきかは教えてくれない。

ある企業が自社の市場に適合していても、現時点では有望な見込み客ではない場合がある。業界、従業員数、売上高、技術スタックが適しているかもしれない。自社の製品が関係していると同意してくれることさえある。しかし、だからといってタイミングが適切であるとは限らない。

タイミングを伴わない関連性は、礼儀正しい会話、先送りされるフォローアップ、「次の四半期にまた連絡を」という返信を生む。TAMは明快に見えるため、創業者はこの点を見落としがちだ。TAMはビジネスが目指すべき市場を示してくれる。しかし、見込み客開拓(プロスペクティング)においては、もう一歩踏み込んで「どのアカウントに最優先でアプローチすべきか」を問いかけなければならない。

それこそが、アウトバウンド営業が答えるべき問いである。

最初のフィルターは「動き」である

現在、筆者が見込み客開拓を行う際、最初に「この企業は当社の市場に適合しているか」とは問いかけない。代わりに「この企業の中で、今何が起きているか」を問いかける。最良の見込み客は、今すぐ行動を起こす理由を抱えている。その理由があるからこそ、アウトリーチが単なるランダムな連絡ではなく、自社に関連性のあるものとして受け止められるのだ。

営業部門の責任者を採用したばかりの企業は、成長戦略を再考している可能性がある。新しい市場に参入する企業は、より優れたアウトリーチを必要としているかもしれない。ツールのリプレイスを行っている企業は、現在のプロセスが機能していないことにすでに気づいている。これらのシグナルは「動き」を示している。その動きがなければ、アプローチしている企業自体は正しくても、彼らにとってその課題が行動を起こすほど重大なものになる前に連絡していることになってしまう。

理想の顧客像(ICP)は、含めるものよりも除外するものを多くすべきだ

弱い理想顧客プロファイル(ICP)は、いつか購入してくれる可能性のあるすべての企業を含めようとする。それは安全な手法に思えるが、アウトバウンドの難易度を上げてしまう。

ICPが「従業員数50〜500人のB2B企業」としか定義されていない場合、営業チームは推測に頼らざるを得ない。どのような課題(ペイン)を探すべきか、どのアカウントに注力すべきか、あるいはいつ身を引くべきかが分からないからだ。有用なICPは、意思決定を容易にする。チームに対して、どのアカウントが今アプローチする価値があり、どのアカウントがまだその時期に達していないかを示してくれる。

適さないアカウントに対して「ノー」と言うことは、信頼構築の一環であると筆者は学んだ。時には「今は貴社にとって適切なタイミングではないと思う」と率直に伝えることが正解となる。それによって短期的な商談機会を失うかもしれないが、関係性は守られる。また、チームが「適合する可能性のある企業」ではなく、「現実に課題を抱えている見込み客」に集中し続けることにもつながる。

TAMをシーケンス(段階)へと落とし込む

実務上重要なのは、TAMとICPのどちらかを選ぶことではなく、それぞれを正しい順序で活用することだ。

筆者はこれを3つのレイヤーで捉えている。

1. 市場(Market):まずは購入の可能性がある企業グループ全体から始める。これがTAMである。機会の大きさを示すが、アウトバウンド活動を行うには対象が広すぎる。

2. 適合(Fit):その市場を、自社が優れた価値を提供できる顧客にまで絞り込む。ここでICPが重要になる。目標は、適切な課題、規模、ユースケース、および購買環境を備えたアカウントを特定することだ。

3. タイミング(Timing):絞り込んだグループの中から、今すぐ行動を起こす理由があるアカウントを探す。経営陣の交代、新規市場への参入、採用活動の強化、ツールの変更などはいずれも、課題が現在進行形であることを示すシグナルとなり得る。

市場全体から始めると、すべてのアカウントが有望に見えてしまう。しかし、適合度とタイミングから始めれば、リストは小さく、鋭く、実行しやすいものになる。TAMはパイプラインの構築に役立つものとなる。それ自体が営業計画になるわけではないが、より優れた優先順位付けシステムの第1層として機能するのだ。

筆者が実践しているテスト

パイプラインが弱いと感じるとき、筆者は市場規模が十分に大きいかを問う代わりに、営業チームが「なぜ今、そのアカウントに連絡しているのか」を説明できるかを問いかける。

筆者は通常、アカウントリストを以下の3つのティア(階層)に分類している。

ティア1:ICPに適合し、行動を起こす明確な理由があるアカウント。これらには最も綿密なリサーチ、最も具体的なメッセージ、最も迅速なフォローアップを行うべきだ。

ティア2:ICPには適合しているが、まだ緊急性が見られないアカウント。これらを無視するわけではないが、商談獲得を強く迫ることもしない。忍耐強く、有益なインサイトを提供しながら、適切なタイミングを待つ必要がある。

ティア3:より広い市場には含まれるが、現時点では適合度が低いアカウント。これらに、より良い機会から時間を奪わせてはならない。

このシンプルな分類作業によって、パイプラインの本当の質が明らかになる。ティア2やティア3に分類されるアカウントが多すぎるなら、そのチームが抱えているのは市場の問題ではなく、優先順位付けの問題である。

アウトバウンド営業の本質的な役割

アウトバウンド活動とは判断の行為である。誰が今注目に値するのか、誰に忍耐が必要なのか、そして誰にまだアプローチすべきではないのかを決定する。これが適切に行われれば、双方の利益を守ることができる。見込み客は自社が理解されていると感じ、営業チームは、そもそも動く準備ができていなかったアカウントを追いかけるのをやめられる。

(forbes.com 原文)

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