「何でもそろう」おもちゃ店が苦戦
従来型のおもちゃ店が苦戦する背景について、帝国データバンクはネット通販や他業態との競争を挙げている。大手家電量販店をはじめ、ベビー・キッズ向け用品を安価に扱う店舗が増加。郊外や地方の単独店では来店客が減少しているほか、メーカー直販の拡大によって売れ筋商品の入荷に苦戦するケースも少なくないという。かつて収益の柱だったゲームソフトも、ダウンロード販売の普及によって需要が減少し、実店舗を訪れる動機が弱まっている。
こうしたなか、10月1日には玩具専門店大手の日本トイザらスが民事再生法の適用を申請した。おもちゃ量販店としては過去最大の経営破綻となる。同社は郊外型の大型店舗からコンパクトな都市型店舗への転換を進め、ベビー関連用品や知育玩具、大人向けの“キダルト”商品の品ぞろえ強化、EC販売にも力を入れていた。しかし米Amazonや大手家電量販店などとの品ぞろえや価格面での競争が激しく、子ども向け需要の落ち込みを補えないまま、自力での事業再建を断念した。
おもちゃを買う大人が市場をけん引
玩具市場では「買い手」にも変化がみられる。帝国データバンクは、市場のけん引役が大人向けのキダルト層へと変化していると分析している。キダルトは、子ども(Kid)と大人(Adult)を組み合わせた言葉で大人の玩具需要を指す。カプセルトイでは、主な顧客層が子どもから10~30代女性など購買力のある大人へシフト。400~500円の精巧なフィギュアや雑貨、人気キャラクターとのコラボ商品などが売れ筋となっている。
大人の需要では、特定のキャラクターを狙う「指名買い」に加え、カプセルトイを「引く」という体験そのものを楽しむ「コト消費」もみられる。こうした消費行動は「棚を見て回りながら商品を選ぶ従来型のおもちゃ店とは必ずしも相性が良いとは言い切れない」と帝国データバンクは分析している。
玩具市場は縮小しているわけではない。むしろ過去最高まで拡大する一方で、「どこで、誰が、どのように買うのか」が変わっていることが興味深い。かつておもちゃ店の強みだった「広い売り場に何でもそろう」という価値が薄れるなか、帝国データバンクは今、「何でもある店」から「行く理由のある店」への転換が求められる局面にあるとしている。


