北米

2026.10.06 08:00

トランプ米大統領の「ぶれる」政策、公約との矛盾が次々と露呈

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年10月3日撮影(Roberto Schmidt/Getty Images)

債券市場は、トランプ大統領が選任した米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長に対し、あまり信頼を寄せていないようだ。同大統領が「金利引き下げに前向きだから」という理由でFRBのウォーシュ元理事を議長に指名したと述べたことから、同議長は物価安定に尽力していることを市場に納得させるべく、奔走せざるを得なくなった。現状では、FRBが市場の動向に追随する形となっており、これは決して好ましい状況とは言えない。

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スコット・ベッセント米財務長官は債券市場への介入を試みることで、金利上昇の火に油を注いでいるようだ。同長官は30年物国債の買い戻しを公約することで、金利の急激な上昇を抑えようとしていた。だが、市場を操作しようとする同長官の試みは、予想通り失敗に終わったようだ。さらに悪いことに、債券価格を安定させるという約束を果たせなければ、市場におけるベッセント長官自身の信頼性が損なわれる恐れがある。金融危機が発生した場合、深刻な問題に対処する財務省の能力に対する市場の信頼が失われかねないからだ。

製造業の雇用

トランプ大統領は国内の製造業の雇用を拡大すると公約していたが、2025年1月の就任以降、同産業の雇用者数は約2万5000人減少している。この要因には、同大統領が人工知能(AI)の導入を推進していることや、AI導入以前から進んでいた製造現場の技術の進歩が挙げられる。金利上昇による圧力や関税を巡る不確実性も原因の1つかもしれない。トランプ大統領の通商政策によって引き起こされた供給網の断絶も同様だ。

同大統領は外国政府や企業に対し、米国の製造業への投資を迫る自身の能力を誇示している。しかし、そうした公約が果たされた例はほとんどない。また、技術の進歩を考慮すれば、新たな工場が多くの雇用を生み出すことはないだろう。

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牛肉価格

往々にして、ある政策上の誤りが不適切な対応によって悪化し、さらに別の誤った判断が下されるという事態が繰り返されてきた。牛肉価格を巡る一連の経緯は、その好例と言えよう。

牛肉価格が既に上昇傾向にあったにもかかわらず、トランプ大統領は不可解にも輸入食肉に対する関税を引き上げた。これにより、イラン情勢に伴う軽油や肥料の価格高騰による飼料の値上がりに苦しんでいた米国の畜産農家は救われた。他方で、食肉の小売価格は予想通り高騰し、消費者の怒りを買うこととなった。

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翻訳・編集=安藤清香

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