ただ、ダーニ-Tがロシアの既存の設計や国産ジェットエンジンを採用していることは、生産目標の達成に寄与する可能性がある。ゲラニ-3の場合、中国製のターボジェットエンジン「テレフライJT80」を採用しているため、生産はこのエンジンを継続的に調達できるかに依存する。ダーニ-Tは既存のサプライチェーンも活用しているほか、従来の巡航ミサイルより大幅に安価で、必要な資源も少ないため、大規模な生産がより現実的なものになっている。
戦争を続けるなか、ロシアは今後もより高速で、生存性が高く、防空網を突破しやすい新たな徘徊弾薬の開発を継続していくとみられる。こうした性能向上には、より高度なエンジンやセンサー、航法システム、対妨害手段が必要になるため、コストは押し上げられ、量産能力も制約される。そのためロシアは、徘徊弾薬の性能を高めることと、量産を可能にするシンプルな構造を維持することとの間でトレードオフに直面している。
小型巡航ミサイル並みの速度と弾頭重量を実現しつつ、徘徊弾薬に期待されるより単純な設計や既存サプライチェーン、低コストを確保したダーニ-Tは、この問題への対処策のひとつに位置づけられる。


