「私は人々に、本当に何かを成し遂げるための自由を一度も与えていませんでした」と彼は語る。この教訓によって、彼のリーダーシップ観は次第に変化していった。マイクロマネジメントに陥るのではなく、リーダーは「明確な北極星(目指すべき揺るぎない指針)」を示し、その上で人々に「自分自身の足跡を仕事に残す自由」を与えるべきだと考えるようになったのだ。
リーダーが投げかける問いも変化する。成果を絶えず問い詰める代わりに、「『手伝えることはないか?』と尋ねるのです。それこそが、偉大なリーダーが発する問いです」とジョンソンは語る。
この哲学は、すべての人が同じ種類のリーダーシップを必要としているわけではない、という認識に基づいている。ジョンソンは、従業員の一人ひとりが持つ「人生の背景(パーソナル・ジオグラフィー)」、すなわち家族、教育、友人関係、これまでの経験などの蓄積された影響を職場に持ち込んでいると説明する。自立性を求める従業員もいれば、より多くの指導や励ましを必要とする従業員もいる。
彼はこれを庭に例える。「美しい庭を見ると、すべての植物に異なるニーズがあるのがわかります」と彼は言う。「太陽を好む植物もあれば、日陰を好む植物もあります。リーダーシップの課題は、全員を画一的に扱うことではなく、個々のメンバーが成長し、輝くために何が必要かを理解することなのです」
アップルによる彼の採用は、異業界からもたらされる専門性の価値を示す好例でもある。ジョンソンは小売のことは知っていたが、テクノロジーについてはほとんど何も知らなかった。最初の面接の後、ジョブズからアップルストアのアイデアをメールで送るよう求められた際、ジョンソンはメールを一度も送ったことがなく、コンピューターさえ持っていないことを認めた。
それでも問題はなかった。
「アップルストアを実現できたのは、技術者であるスティーブと、人間中心の視点を持つ私がいたからです」とジョンソンは言う。ジョブズは特定の分野の専門家を求めており、共通のビジョンのもとにそうした人々が集まったときに独創性が生まれると信じていた、とジョンソンは回想する。
ジョンソンが当初アップルについて詳しくなかったことは、行動を起こす前に耳を傾けることの価値を再認識させることにもなった。「活動を始めるときに最も重要なのは、ただ人々と話すことです」と彼は言う。彼は社員食堂から受付まで、あらゆる場所で対話を重ね、従業員がどのような仕事をしており、店舗がどのようにアップルに貢献できるかを尋ねて回った。
「多くの人がオフィスにこもり、1人で考えて時間を過ごしがちですが、外に出て、とにかく人々と話さなければなりません」と彼は語る。「私たちは1人で物事を進めようという重荷を背負いがちですが、力を合わせた方が常にうまくいくものです」


