この反応を説明する一助となるのが社会的比較理論だ。人は主に周囲の人と自分を比較することで、自分の能力を判断する。加えて、他の人の成功は自分が関心を寄せる分野において、身近な人物によって成し遂げられた場合に最も脅威を感じる。見知らぬ人の功績には容易に感嘆できるが、同じ立場にある同僚の功績については、自分の成果と比較せざるを得なくなるため、そう簡単には感嘆できない。
功績を軽視するような発言が、距離のある人ではなく、同僚や友人から発せられることが多いのはこのためだ。誰かの成功を運のおかげだと説明することは、その成功を個人の能力によるものではないようにするための手段だ。その人の成果を状況によるものとすれば、自身の能力不足を見せつけられて不快な思いをせずにすむわけだ。
同じプロセスは会議以外の場面でも見られる。以前なら良い知らせを一緒に喜んでいた友人が、仕事の話になるたびに話題を変えるようになるかもしれない。以前は気軽にアイデアを共有していた同僚が、昇進後は警戒して口を閉ざすようになるかもしれない。こうした変化が意図的なものであることは滅多にない。多くの場合、それは抱きたくない感情に対処するためのその人なりの方法なのだ。
兆候2:批判の矛先が仕事ではなく人柄に向けられる
今度は、同じアナリストが年次評価を受けている場面を想像してみよう。アナリストは高い成果を上げているが、上司から「あなたを威圧的だと感じる人がいる」と言われ、もっと親しみやすくなるよう努めた方がいいと助言される。アナリストが具体例を尋ねても、上司は思い当たるものがない。一方、そのアナリストと非常に似ている働き方をする男性の同僚は、いつも「決断力がある」と評価されている。これは決して珍しいシナリオではない。
学術誌『American Sociological Review』に2020年に掲載された研究では、大手IT企業で実際に行われた人事評価を分析した。その結果、主導権を握る姿勢は男性の場合高く評価される一方で、女性ではそうではないことが明らかになった。
有能な人物であっても、他の人々と同様に、同僚からの客観的なフィードバックは欠かせない。しかし同僚が「あの人は何でも完璧にこなす」と思い込む結果、本来必要なフィードバックが得られないケースがある。そのため、目標とすべきはネガティブな意見を頭から退けることではなく、批判の矛先が「仕事の成果」から「あなたの人格そのもの」へとすり替わっていないかを見極めることにある。


