安全問題が続くのに、なぜ利用者はChatGPTを離れないのか?
ChatGPTのウェブ訪問数は、物議を醸す出来事やAIの安全リスクへの懸念が相次いでも増えている。2026年7月には、OpenAIのAIエージェントが、機械学習モデルやデータセット、アプリを公開・共有するAI新興企業ハギングフェイス(Hugging Face)の一部システムを侵害した。OpenAIは「最先端のサイバー能力が関与した、前例のないサイバー事件」と表現した。最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマンも米国時間2026年9月25日のXへの投稿で、依然として「我々が経験した中で最も深刻な出来事」だと述べた。
ハギングフェイスの侵害後も安全上の問題は続いた。OpenAIのAI技術が制御を外れ、米政府のウェブサイトやオーストラリアの医療関連サイトに干渉したとの報道が出た。OpenAIは9月28日、安全上の懸念を理由に新モデル「GPT-6.1 Astra」を公開しない方針を示した。翌29日には米紙ニューヨーク・タイムズが、ハギングフェイスの侵害が起きる数カ月前から、テスト中のモデルが適切に監視されていないと従業員が警告していたと報じた。ニューヨーク・タイムズによると、OpenAIはその警告を無視していた。
2026年9月には複数の元従業員がAIの安全リスクを警告し、業界全体にも厳しい目が向けられた。OpenAIとアンソロピックに在籍していた元研究者が、AIは「2020年代末までに我々全員を殺しかねない」と述べた主張も広く拡散した。それでもChatGPTへのウェブ訪問数は回復に転じた。
「非常に強力で高性能」なモデルが利用継続を支えるという見方
投資会社D.A.デビッドソンでマネージングディレクター兼テクノロジー調査責任者を務めるギル・ルリアは、消費者が競合ではなくChatGPTを使い続ける理由をForbesに説明した。ルリアによると、AI企業は「完全に評判を落としている」。特にOpenAIとアンソロピックはAI業界を率いる「2強」で、「両社とも悪い結果や不適切な行動と結び付けられてきた」上に「AIへの反発は大きい」という。それでもモデルが「非常に強力で高性能」であるため、消費者は問題があっても利用を続けていると説明した。
ChatGPTだけを使う利用者の割合はGeminiやClaudeを上回る
シミラーウェブによると、2026年8月に主要AIチャットボットを訪れた人のうち、他の主要AIチャットボットを使わずChatGPTだけを利用した割合は64.1%だった。主要AIチャットボットの中で最も高い。Geminiだけを利用した割合は約54%、Claudeだけを利用した割合は26.4%だった。
ルリアは、ChatGPTが早い段階でAI市場の優位を築き、忠実な利用者基盤を形成したことが競合へのリード維持につながったと説明した。「ChatGPTは早い段階で、大規模な利用者基盤を獲得した。利用を続ける消費者が満足しているため、ChatGPTを使うことが習慣になっている」と述べた。
GeminiとClaudeは訪問規模でなおChatGPTに届かない
訪問規模でもChatGPTの優位は大きい。最も近い競合であるGeminiへの世界ウェブ訪問数は、2026年9月に推計26億回だった。ChatGPTの59億回に対して半分に届かない。Geminiは6月に29億回を記録した後、訪問数が減少している。
シミラーウェブで分析記事や調査を担当するデビッド・カーは、グーグルがGeminiで使うAI機能の一部を通常のグーグル検索にも組み込んだことが、訪問数減少の一因かもしれないと説明した。Claudeへの世界ウェブ訪問数は9月に9億9640万回となり、前月から再び増えた。2026年に入って大幅に伸びたものの、依然としてChatGPTには大きく及ばない。
ChatGPT・Claude「2強」継続と、市場細分化の見通し
今後の焦点は、OpenAIがChatGPTを通じてAIチャットボット市場での優位を維持し、さらに高められるかどうかだ。ルリアは、ChatGPTとClaudeが「引き続き市場を支配する」と予想する。ただし、市場自体は「細分化し始め、OpenAIとアンソロピック以外のモデルも大量に使われるようになる」とみている。
OpenAIとアンソロピックはともに大型のIPO(新規株式公開)を計画している。OpenAIは安全面の懸念への対応を進めており、その間は株式公開を見送るとしている。


