英国発のデータセンター企業、創業者3人が揃ってビリオネアに
続いて明らかになったのが、データセンターのスタートアップ、Fluidstack(フルイドスタック)の資金調達である。Forbesが9月に報じたところによると、同社はこの夏、公表しないまま15億ドル(約2370億円)を調達しており、評価額は180億ドル(約2兆8440億円)を超えた。同社は、2026年の売上高が6億6000万ドル(約1040億円)に伸びると見込んでいる。英国で創業し、ロンドンを拠点としていたが、2025年12月にニューヨークへ移った。この調達で、共同創業者のゲイリー・ウー(31)、ジェイミー・コックス(29)、セザール・マクラリー(29)は、資産がそれぞれ10億ドル(約1580億円)のビリオネアとなった。ウーとコックスはオックスフォード大学在学中に出会い、2017年にFluidstackを立ち上げた。以前はF1チームで空気力学の仕事に携わっていたマクラリーは、2020年に加わった。同社はもともと、ゲーマーが自分のGPU(画像処理半導体)をAI研究者に貸し出せるマーケットプレイスとして始まった。現在は米国各地でデータセンターを建設しており、Anthropicを最大級の顧客の一つに数える。欧州出身の共同創業者3人は、いまはそろってニューヨークに拠点を置いている。
仏Mistralが欧州史上最大の調達、創業者3人は資産各約4266億円
その次に来たのが、欧州のスタートアップとして史上最大の資金調達だった。フランスのAIの雄、Mistral(ミストラル)が9月、243億ドル(約3兆8390億円)の評価額で35億ドル(約5530億円)近くを調達する、桁外れのラウンドを完了したのだ。
Mistralは、パリを拠点とする創業者3人、グーグル・ディープマインドの研究者だったアルチュール・メンシュと、フェイスブック(現メタ)出身のティモテ・ラクロワ、ギヨーム・ランプルが、米国のAI開発企業や中国のオープンソースのAIモデルに対抗できる大規模言語モデル(LLM)をつくるため、2023年に創業した。Forbesの推計によると、今回の調達で3人の持ち分の価値はそれぞれ、4月時点の18億ドル(約2840億円)から27億ドル(約4270億円)に増えた。
エヌビディアがHugging Face買収、仏出身3人がビリオネアに
こうした資産の膨張には、買収も一役買っている。半導体の巨人エヌビディアは米国時間9月3日、オープンソースのAIプラットフォームを運営するHugging Face(ハギングフェイス)を、129億ドル(約2兆380億円)で買収することで合意した。Forbesの推計によると、この取引で同社のフランス人共同創業者3人、クレマン・デラング、ジュリアン・ショーモン、トーマス・ウルフは新たにビリオネアとなり、資産はそれぞれ17億ドル(約2690億円)に達した。
10代向けアプリが原点、開発者1800万人超が利用
Hugging Faceは2016年、10代向けの遊び心あるチャットボットの会社として、ニューヨークで設立された。しかし共同創業者たちはすぐに、この消費者向けアプリを動かしているAIモデルのほうが、アプリそのものより価値があることに気づいた。現在では、約1800万人の開発者と20万社が、Hugging Faceのモデルやデータセットのライブラリーを利用している。同社はニューヨークに本社を置くが、従業員の大半はフランスにおり、自らを「仏米企業」と位置づけている。デラングはフランス北部の小さな町ラ・バッセで、3人のきょうだいとともに育った。ウルフはロンドンを拠点にしている。


