火星に海があったかどうかは今も論争が続いているが、岡山大学は、火星表面のデルタ地形を水槽実験で再現し、海が存在していたことを実証した。また、その海がいつ消えたかについても明確な時期を示すことに成功した。
岡山大学、高知大学、長崎大学、イタリアのダヌンツィオ大学による研究グループは、火星表面の各地に確認されるデルタ地形が、地球の海岸線の河口付近に作られるデルタ地形とよく似ていることから、水位の下降や上昇によるデルタ地形の形態変化を調べることにした。そこで、長崎大学の大規模水槽施設に火星の地形を再現し、水面を上下に変動させて地形の変化を観察したところ、海退(海水面が下がり海岸線が沖に遠ざかること)により、火星表面のものと酷似したデルタ地形が現れた。
さらに、火星のデルタ地形の位置や方向、年代を調べたところ、38億年前から32億年前までの間、火星の北半球には広大な海があったと推定された。同時に、32億年前には海退が進んで海が消失したこともわかった。
また、デルタ地形や川の跡には、その大きな海とは違う方向に水が流れたことを示すものが多くあり、そこには小さな湖や沼があったことを示していた。年代測定によって、それらは21億年前から1億年前ぐらいまで各地に存在していたことが明らかになり、それまで火星表面には液体の水があり、生命存在可能環境が保たれていた可能性が示された。
32億年前と言えば、地球では中太古代で陸地がなく、全体が海に覆われた単細胞生物だけが存在していた時代だ。太陽系の惑星が同じように形成されて進化していたとしたら、当時は火星も地球と似た環境だったのかもしれない。そう思うと、生命がいてもおかしくない。そうした謎も、今後早いテンポで解き明かされていくことだろう。



