エージェント型AIはクラウドの仕事をどう変えるのか
エージェント型AIは構図を一変させる。AIは質問に答えるだけの仕組みから、タスクを完了する仕組みへ移りつつある。
その結果、推論処理の呼び出しは1回では済まない。単一の推論モデルだけでなく、複数のモデルやツール、情報検索システム、検証の反復を組み合わせるようになる。
1回の質問が複数モデル、検索、検証へ広がる
従来型のチャットボットへの問い合わせと異なり、エージェント型AIを使う業務では、複数のモデルやツールを呼び出し、情報検索と検証を繰り返す場合がある。それぞれの処理が推論需要を積み増す。
これは2024年には予算へ織り込まれていなかった新たなAI処理負荷であり、処理の大半は端末上で行われていない。
企業AIをクラウドへ向かわせる社内データと管理要件
企業によるAI導入もまだ初期段階だ。米誌フォーチュンは売上高を基準に米国大手500社を選ぶ「フォーチュン500」を発表している。その大半は、顧客サービス、プログラミング、財務分析、サプライチェーン運営などの業務へAIエージェントを導入し始めた段階にある。
需要の伸びは、本格的に加速する転換点にさえ達していない。この需要は主にクラウド上で生じる。セキュリティーや管理・統制が必要なだけでなく、企業向けの推論では、従業員個人のノートパソコンには存在しない社内データを使って推論する必要があるためだ。
端末の高機能化と史上最大規模のインフラ投資は両立する
言い換えれば、「端末上のAIか、データセンターか」という対立ではない。端末上のAIがAIの活用領域全体を広げると同時に、市場全体も急速に成長する。その大きな部分をクラウドが引き受ける。
大規模クラウド事業者が見ているのは推論需要の総量
データセンターの増設は、大規模クラウド事業者が端末上のAIによる推論処理に懐疑的だから進んでいるのではない。端末側とクラウド側を合わせた推論処理全体が、過去に例のない勢いで、これまでとは全く異なる規模へ拡大しているためだ。
端末側のAI機能が高度になるほど、端末からデータセンターへ送られる処理の負荷も大きくなる。端末側の高度化とクラウド側の需要増は同時に起こる。これが、テクノロジー史上最大規模のインフラ整備が始まろうとしている理由だ。


