「すばやい思考」の習慣がもっと評価されるべき理由
同じ研究グループが学術誌『Communications Psychology』に2025年に発表した研究では、ゆっくり慎重に考える人とすばやく直感的に考える人が同じように正確だと説明されている場合でさえ、人はゆっくり慎重に考える人の方をより知的で信頼できると評価する傾向があることがわかった。この傾向は人々が急いで判断を下さなければならない状況でも現れることから、無意識のうちに生じているようだ。
これは、この記事の冒頭で言及した会議の場面で何が起きているのかを説明するのに役立つ。しばらく黙ってから答えた同僚が、必ずしもあなたより優れた推論をしていたわけではないが、その「間」があることで、その人の答えはあなたを含め会議にいる人たちにとって熟考されたものに見えたのだ。そのような理由で即答を控えることは、優れた思考を自分の中だけに留めてしまうことにもなり得る。
注意点
この研究の限界についても明確にしておく必要がある。研究の大半では正解が1つの論理パズルや推論問題を用いているため、人生のパートナー選びやキャリアの選択といった、価値観や不確実性が関わる個人的な意思決定について示唆するものはあまりない。
優れた直感は経験にも左右される。自分がよく知っている分野での即答は、なじみのない分野での即答よりも正しい可能性が高い。なじみのない分野では、より慎重に考えるのが理にかなっている。また、この研究を「衝動的な行動を推奨するもの」と解釈すべきでもない。最初の直感を確認せずにそのまま行動に移すというのはまた別の行動であり、多くの間違いにつながる傾向がある。直感と熟考が具体的にどのように連携しているのかについても心理学者の間では今なお議論が続いている。
こうした限界を踏まえれば、実践的な教訓は明快だ。答えがすぐに頭に浮かんだとき、習慣的に退けるのではなく、真剣に受け止める価値がある。そのうえで、その答えが検証に耐えられるものなのか、また他の人に説明できるかどうかを自問してみるといい。最初の答えを信頼し、その後で確認する。この組み合わせこそが、優れた思考力を持つ人たちに一貫して共通している習慣の1つのようだ。


