宇宙

2026.10.03 15:00

地球の月、「わずか5時間」で形成された可能性 最新モデル研究が示唆

火星サイズの原始惑星テイアと地球との巨大衝突の様子を描いた想像図。この衝突の結果として月が形成されたと考えられている(NASA)


この仮定に疑問を投げかける今回の最新研究では、衝突する2つの天体が持つ、温度依存性のある地質学的強度のコンピューターシミュレーションを利用した。高温の天体ほど強度が弱く柔らかい一方、低温の天体ほど物質強度が高くなる。この天体の温度の違いが月の形成過程に決定的な影響を及ぼすことが、今回のシミュレーションで明らかになった。このような違いによって、巨大衝突の結果が根本的に変わる可能性があるのだ。

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デントンは「シミュレーションモデルは物質強度を計算に組み込めるように進化している。これは、より小型の天体同士の衝突を調べる際に極めて重要な要素だ」として「この要素が月にとって重要になるかどうかは、わからなかった。シミュレーションを行ってみると、実際にかなり重要になることが明らかになった」と述べている。

地球とテイアの温度が決定的なカギを握る可能性

地球とテイアの初期温度によって、巨大衝突のたどるプロセスが顕著に異なる可能性があることを、今回の研究は明らかにした。あるシナリオでは、テイアが粉砕されて巨大なデブリ円盤ができ、ここから最終的に月が形成される。また別のシナリオでは、衝突で破砕することなく一塊の状態を保った月が数時間以内に形成される。

誕生間もない原始惑星は全体として高温で、時間の経過とともに冷えていくため、巨大衝突が発生したタイミングと月の形成過程との間に関連性がある可能性があることを、今回の研究成果は示唆している。

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物質強度の有無による月形成シミュレーション結果の比較図。同じ初期パラメーターで計算した巨大衝突の最終状態で、天体を流体とみなす従来モデル(左)ではテイアの91%が地球に取り込まれ、周囲には小さな破片からなるデブリ円盤が形成される。岩石の物質強度を計算に加えた最新モデル(右)では、地球に取り込まれる割合が84%にとどまるが、破砕を免れた一塊の月(白丸)が軌道に捉えられる。物質強度の有無が月形成過程を大きく左右することがわかる(Southwest Research Institute)
物質強度の有無による月形成シミュレーション結果の比較図。同じ初期パラメーターで計算した巨大衝突の最終状態で、天体を流体とみなす従来モデル(左)ではテイアの91%が地球に取り込まれ、周囲には小さな破片からなるデブリ円盤が形成される。岩石の物質強度を計算に加えた最新モデル(右)では、地球に取り込まれる割合が84%にとどまるが、破砕を免れた一塊の月(白丸)が軌道に捉えられる。物質強度の有無が月形成過程を大きく左右することがわかる(Southwest Research Institute)

地球と月の類似性をめぐる謎は未解決のまま

今回のシミュレーションでは、月の起源に関する謎の全てが解明されたわけではない。残された大きな謎の1つは、月には別の惑星状天体であるテイアの物質が相当量含まれていると推定されるにもかかわらず、地球と月の岩石の組成が極めて類似しているのはなぜかという問題だ。デントンは「地球と火星は、同じ太陽系の近所で形成されたので、兄弟のようなもの」であるのに対し、「月と地球は、むしろ二卵性双生児に近い」と例えている。

テイアと原始地球は、原始惑星系円盤内のほぼ同じ場所で形成されたのかもしれない。原始惑星系円盤は、当時の太陽のように誕生間もない恒星の周囲に形成されるガスと塵(固体微粒子)からなるリング状の領域だ。その一方、地球や月とは化学組成が明らかに異なる火星は、原始惑星系円盤の別の領域で、離れて形成された。

(forbes.com 原文)

翻訳=河原稔

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