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北米

2026.10.11 10:00

トランプ政権、「政府公認のデジタル海賊」を投入へ──民間によるサイバー犯罪組織への反撃を制度化

Photo by Tierney L. Cross/Getty Images

なぜサイバー犯罪対策で民間企業の力が必要なのか

現在は、サイバー犯罪対策に必要なデータと技術力の多くを民間企業が保有している。政府は、犯罪組織に対して行動するための法的権限を持つ。民間に能力があり、政府に権限があるという、歴史的に見ても異例の状況だ。

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人工知能(AI)を使ってサイバー脅威情報を分析する企業は、ランサムウェアに使われるシステムやネットワークをリアルタイムで把握する。サイバー攻撃後の被害対応を専門とする企業は、攻撃から数時間以内に被害組織のネットワークへ入り、調査や復旧に当たる。

暗号資産取引所やステーブルコイン発行企業は、不正資金を数分で凍結できる。ブロックチェーン分析企業は、異なるブロックチェーン間で資産を移すブリッジや、資金の流れを分かりにくくするミキサーを経由した盗難暗号資産も追跡する。最終的に資金が入ったウォレットまで特定でき、政府の捜査機関は、民間企業が把握する情報への依存を強めている。

政府の権限と民間企業の技術力を結び付ける

大統領覚書は、米国の方針として「民間部門の革新的な能力を含む国力のあらゆる手段を使い、サイバー犯罪と戦う」と宣言した。「連邦政府の指揮と監督を受ける、審査済みの米企業と連携する」とも定めている。

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クリス・パーキンスは、世界で事業を展開する資産運用会社フランクリン・テンプルトンのデジタル資産責任者で、元米海兵隊大尉だ。

パーキンスはインタビューで、「暗号資産業界は、国家の支援を受けた攻撃者から被害を受け続けている。誰もが問題を理解しているが、解決策はただ1つだ。民間部門が持つ並外れた力、洗練された技術、実行力を解き放つ時だ。私掠船を復活させる時が来た」と語った。

1812年当時は商人が船を所有し、議会が戦争を遂行する権限を握っていた。私掠免許状が民間の船と政府の権限を結び付けた。大統領覚書とリー法案も、民間の能力と政府の権限を結び付ける仕組みを、テクノロジーの時代に再現しようとしている。

ホワイトハウスの制度では民間企業にどこまでの作戦を認めるのか

国家安全保障大統領覚書(NSPM)は、米司法省(DOJ)または米国土安全保障省(DHS)と契約する「参加企業」の制度を設ける。参加企業は、犯罪ネットワークに関する情報を集める「サイバー監視作戦」を実施できる。

認められるのは監視だけではない。犯罪組織が依存するシステムを操作、妨害、機能低下、破壊する「サイバー効果作戦」も対象になる。

作戦には事前承認と政府による調整が必要

制度には、政府による監督と事前承認の仕組みが組み込まれている。参加企業は厳格な審査を受け、契約条件として保証金を求められる場合がある。

司法省と国土安全保障省から1人ずつ置かれるプログラム統括責任者が、作戦を事前に承認する。両省が主導する国家調整センターは、国務省、財務省、国防総省、情報機関との活動の重複を防ぐ。

政府が承認した手続きを通すことで、民間企業による反撃を長年難しくしてきた連邦反ハッキング法を巡る法的懸念に対応する。この連邦法が「コンピュータ詐欺・不正利用防止法」だ。

大統領覚書は、米国人を狙うサイバー犯罪や詐欺に対処するため、2026年3月に署名された大統領令14390号を土台としている。

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