打ち上げから2分20秒後にブースターが切り離されると、シップと呼ばれる第2段は6基のエンジンを点火した。しかし、その1基にも不具合が発生し、予定よりも53秒早く停止。そのため残り5基のラプターエンジンを予定より11秒長く燃焼することで、まずは準軌道に投入された。
準軌道を航行するシップの高度は164kmに達していた。しかし、地球周回軌道に入るための初速度は得られておらず、それを実現するには2度目のエンジン噴射が必要だった。ただし、その実施にはシステムに対する絶対的な安全性が担保される必要がある。そのためエンジンに不具合が発生したこのフライトでは、軌道投入の中止がアナウンスされた。
しかし、スターシップが惰性で航行する約15分の間に、管制チームがあらためて機体の状況を確認した結果、軌道投入噴射が承認され、スターシップは初めて地球周回軌道に投入されることになった。その結果、打ち上げから25分後には、シップに搭載されたラプター1基が14秒間にわたって燃焼された。
26基のスターリンクV3が実運用開始
打ち上げから34分後、地球周回軌道に入ったシップはスターリンクV3衛星を放出しはじめ、約30分かけて26基の機体を軌道上に送り出した。その直後には、すべての衛星と通信が確立されたことが報告された。これらの衛星は今後、各機に搭載されたイオン・スラスタ(電気推進装置)でさらに上昇し、数週間後には350km前後の運用高度に到達してサービスを開始する予定だ。
新型のスターリンクV3(約2トン)は、既存のV2 Mini(約550kg)よりもはるかに大型であり、帯域幅も格段に増幅される。そのダウンリンクは1 Tbps、アップリンクは160 Gbpsが見込まれているが、これはV2 Miniのそれぞれ10倍、22倍を意味する。今回はスターシップ1機が26基のスターリンク衛星を打ち上げたが、そのネットワーク容量をV2 Miniとファルコン9で実現しようとすれば、実に20回の打ち上げが必要となる。


