サイエンス

2026.10.05 17:30

パクチーに「石鹸やカメムシ」を感じるのは5人に1人、その遺伝子メカニズム

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2012年に『Chemical Senses』誌に掲載された、286組の双子について分析を行なった研究では、前述の『Flavour』に掲載された研究よりも広い範囲での遺伝子の関与を指摘している。ただし、この論文の著者自身が、この推定は、共有されている環境がもたらす影響を無視した場合のみ成り立つと注意を促している。

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また、苦味を感じる味覚受容体に関連する変異と、パクチーを嫌う傾向とを結びつける予備的な調査報告もいくつかある。だが、11番染色体に関する研究結果と同等の根拠に基づいたものはない。おそらく、この形質には複数の遺伝子が絡んでおり、単一の遺伝子ではスイッチが入らないとみられる。

さらに、遺伝子だけでなく、学習がもたらす効果もある。あるにおいが食欲をそそるか、それとも不快感を抱かせるかは、その人の脳が、そのにおいを以前にどう捉えていたかに大きく左右される。しかも、こうしたにおいと感情の結びつきは、不快に思わずに済んだ経験を何度も重ねることで変化することがある。パクチー嫌いを克服した人は、そうした体験を語ることが多い。「パクチーが使われていても問題なく食べられた」という体験を少しずつ積み重ねていくことが、克服の鍵となっているわけだ。

ここでぜひお伝えしておきたい、パクチーのにおい克服のコツがある。チャツネや、複数材料を混ぜ合わせたソースを作る時のように、パクチーをすりつぶすと、葉の組織が壊れて、酵素が放出される。この酵素の働きで、特有のにおいの源になっているアルデヒドが他の化合物に変化するという。

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2010年に『Journal of Agricultural and Food Chemistry』に掲載された研究では、まさにこの種の酵素が、パクチーの葉で活発に活動していることを確認した。パクチーの葉を切り刻んで熱すると、石鹸臭の源になっているアルデヒドの含有量が減り、関連するアルコール類の値が上昇したという。

この化学反応は、確実な裏付けがある。しかし、パクチーをすりつぶすことで、石鹸臭を感じる人たちの食卓での体験を快いものに変えるような、急速な反応が起きるかどうかは、まだ検証されていない。とはいえ、試してみても損はほぼないはずだ。

より広い視点で見れば、重要なポイントは、人が感じ取る「風味」というものが、「正しく認識されることを待っている、食材の固定された性質」ではないということだ。それは、特定の分子群が、特定の受容体群に触れた際に生じる現象であり、これらの受容体は、すべての人で同じ性質を持っているわけではない。

したがって、パクチー入りのサルサソースが「石鹸のように感じる」と言っている人も、このソースについて誤った判断を下しているわけではない。彼らは、自身の鼻が伝える感覚を正確に表現しており、それが他者が感じている風味とは異なるだけなのだ。

(forbes.com 原文)

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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