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アート

2026.10.11 15:00

ミイラからAIまで、「ポートレート」が持つ力とその背景

2018年2月12日、ワシントンD.C.のスミソニアン国立肖像美術館で、バラク・オバマ元大統領とミシェル・オバマ元大統領夫人の肖像画の除幕式が行われた。元大統領の肖像画はケヒンデ・ワイリーが、元大統領夫人の肖像画はエイミー・シェラルドがそれぞれ描いたものである。

2018年2月12日、ワシントンD.C.のスミソニアン国立肖像美術館で、バラク・オバマ元大統領とミシェル・オバマ元大統領夫人の肖像画の除幕式が行われた。元大統領の肖像画はケヒンデ・ワイリーが、元大統領夫人の肖像画はエイミー・シェラルドがそれぞれ描いたものである。

インスタグラムのプロフィール画面は、誰でもグリッドを使ってキュレーションすることができる。リンクトインに掲載する顔写真は、経営者たちが自分で最適と思うものに変えることができる。また、ファッション誌は「人の顔」を、利益を生み出すものに変えている。

だが、これらが可能になるよりもずっと前から、古典的な肖像画はこの3つの役割を単独で果たしてきた。国立の美術館から雑誌の表紙に至るまで、ポートレート(肖像画や写真)はさまざまな場面で、人々に力強いメッセージを伝える役割を担ってきた。

世界では現在、1日に53億以上のセルフィーが撮影されているという。そして、自撮りでもそうではなくても、ポートレートは大抵の場合、ただ単に人の外見を記録するものではない。慎重に作り上げられたものであり、その人が持つ社会的地位や正当性、富、知性、倫理観、そして権力を表現するものだ。

身につけるものから姿勢や表情、背景、さらには周辺に配置する小道具まで、すべてが互いに関わり合いながら、視覚言語として機能する。これらのものに関する選択は、描かれる人のアイデンティティを反映すると同時に、それを決定づける。つまり、その人が周囲や後世の人たちに「見せたい自分」を形作るものになっている。

ポートレートは常に、「影響力」と密接に結びついてきた。注目され、人の記憶に残る人物、権威や美、成功、あるいは文化的な重要性を象徴する人物を決定づけてきた。

以下、個人を定義づける上でポートレートが果たしてきた役割を最も明確に示すいくつかの興味深い例について、考察する。

文明初のレピュテーション・マネジメント

紀元1~3世紀、ローマ支配期のエジプトでミイラの顔を覆うように置かれていた板には、(蜜ロウに顔料を混ぜた絵具を使った)エンコースティック画の肖像画が描かれていた。「ファイユームの肖像画」と呼ばれるそれらは、今も古代のものには見えない。

真っすぐにこちらに向けられる視線、金の装飾品、洗練されたヘアスタイル──すべてが死後に体を布で包まれ、ミイラになることを前提に、存命のうちに制作されたものだ。つまりこれらは、後世に残る自らの姿が最も魅力的な姿で描かれることに、対価を支払うことができたエリート層の肖像画だ。

いっぽう、ポートレートはその後の欧州において成熟するなかで、政治的・商業的な権力と関わりを深めていった。アンソニー・ヴァン・ダイクが描いた英国王チャールズ1世の肖像画は、小柄な国王の身長が実際よりも高く見えるように描かれていた。生まれながらの指揮官らしい威厳を持たせる工夫を施したその効果は絶大であり、国王が願ったとおりの君主のイメージを後世に残した。

スペイン王室に同様の貢献をしたのは、ディエゴ・ベラスケスだ。尺度を図り、色使いや配置を工夫し、どのような言葉を用いた命令や布告よりも明確に、権威の序列を表現した。

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編集=木内涼子

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