Northern Health──外注なら最大約2090万円かかる医療アプリを4日で自作
英国で一般開業医(GP。地域の住民の初期診療を担う医師)を務めるファヒム・フセインは、自身の診療所であるNorthern Health(ノーザン・ヘルス)の患者向けに、遠隔医療のプラットフォームを構想していた。その開発費として提示された見積もりは、7万5000〜10万ポンド(約1570万〜2090万円)だった。小さな会社が引き受けるには、あまりに大きな財務リスクである。しかも開発には12〜18カ月という長い期間がかかる見込みで、収益を得られるのはずっと先になるはずだった。
ところが、バイブコーディング・プラットフォームのReplit(レプリット)を使うと、フセインはわずか4日間で、このプラットフォーム「My Doctor」の機能を16個作り上げることができた。診察の予約、処方薬の申し込み、サブスクリプション型の決済の仕組み、Fitbitの活動量計との連携などである。伝えられている開発費は、わずか165ポンド(約3万4000円)だった。
レザーマン──社員が自ら作った業務ソフト250件超が稼働
ナイフやペンチなどを1つにまとめたマルチツールの米メーカー、レザーマンは、ソフトウェアのツールよりも、手に取って使う工具の作り手として、はるかによく知られている。だが、そのイメージも変わろうとしているのかもしれない。同社はバイブコーディングの考え方を全面的に取り入れている。製造、マーケティング、財務、人事、業務運営といった各部門の従業員に、日々取り組んでいる具体的な課題の解決策を、自分でバイブコーディングして作るよう促しているのだ。その結果、アプリ、ダッシュボード、業務の自動化の仕組みなど、250件を超えるプロジェクトが全社で実際の業務に使われるようになった。
おわりに──技術がない人でも道具を作れる、秘訣は試す自由を与えること
ここで取り上げた5社は、それぞれ違うやり方でバイブコーディングに取り組んだ。だが、学んだ教訓は同じである。バイブコーディングが生み出す機会を生かせば、技術的なスキルを持たない人でも、時間を節約し、成長を後押しするツールを作ることができる。その秘訣は、従業員に試行錯誤する自由を与え、イノベーションや問題解決に取り組む人が報われる企業文化を育てることにある。


