同じ問題を抱える国連
そして話はニューヨークへ戻る。国連憲章第2条は、他国の領土保全や政治的独立に対する武力による威嚇または武力行使を禁じている。だが、ロシアは依然として安全保障理事会の常任理事国であり続けている。2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議案が安保理で審議された際、11カ国が賛成票を投じた。だが、ロシアが拒否権を行使した。
この矛盾こそ、国連が現在直面している危機の核心である。ロシアは国際平和の維持に対して特別な責任を担う立場にありながら、自国が起こした戦争に関する行動を阻む権限も持っているのだ。
国連は現在、グテーレスの後任を探している。もちろん、有能な事務総長を選ぶことは重要だろう。しかし、トップの交代だけでは不十分だ。国連総会で議長のラーマンが述べたように、国連の問題は「慢性的かつ根本的」なものであるため、改革はさらに深く踏み込まなければならない。ラーマンがその席であらためて強く求めたのも、安全保障理事会の改革だった。
より大きな課題は、第二次世界大戦後に創設された国際機関が、その設立の基礎となった諸原則を、なお実効性をもって順守させていくことができるかどうかだ。かつての米国は、このことがなぜ重要なのか理解していた。米国は国連憲章の起草に尽力した。1948〜49年のベルリン封鎖に際して断固たる姿勢を貫いた。NATOを創設した。そして数十年にわたり、ソ連・ロシアに対して、西欧を侵略すれば、西側諸国の結束した対応に直面することになると認識させてきた。
今月、国連本部に集まった世界の首脳らは、米国はいまもなお、この国際体制を自国の安全保障に不可欠なものと考えているのか、それとも、他国が担うべき負担とみなしているのか、米政府に問いかけてみるべきだろう。もっと重要なのは、もし欧州と北米を守っている抑止力が機能しなくなった場合、米国は、その結果として生じる追加的な負担を分担する用意があるのかどうか、という点だ。さらに言えば、台湾や韓国といったほかの地域の国々にとって、米国の姿勢はどのような意味を持つことになるのか。
歴史が教えているのは、抑止力を維持するよりも、いったん失われた抑止力を再構築するほうが、はるかに高くつく場合があるということだ。その教訓をわたしたちは忘れてしまったのだろうか。


