欧州

2026.09.25 07:00

ロシアとウクライナのエネルギー戦争、憂慮すべき新たな段階へ

ウクライナ東部ハルキウのガソリンスタンドで、ロシア軍による無人機攻撃を受け、炎上する車両。2026年7月3日撮影(Serhii Masin/Anadolu via Getty Images)

ウクライナ軍の無人機がロシア北極圏をも射程に

ウクライナ軍による攻撃強化の中でも、特に重要な動きがある。それはロシア北極圏にある天然ガス処理施設に対する長距離攻撃だ。ウクライナ軍の無人機は9日、ロシア領空を3000キロにわたって侵犯し、西シベリアの極北に位置する、同国最大級の天然ガス生産地の1つであるヤマロ・ネネツ自治管区に到達した。ノブイウレンゴイとプロフスキーの両施設が被った損傷は致命的ではなかったものの、これは本質的な問題ではない。真の影響は別のところにあり、大きく分けて2つの側面がある。

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第一に、もはやどれだけ遠隔地にあるエネルギー施設であっても、ロシアの広大な国土はウクライナ軍の攻撃から守る盾にはならないという点だ。こうした事態は予見されていた。ウクライナ軍は、製油所や石油貯蔵施設、パイプラインなどの設備の大半が集中するロシア西部のほぼ全域に攻撃が及ぶよう、射程を拡大し続けてきたからだ。だが、これまでは北極圏における天然ガスの生産、処理、液化施設の大部分は、攻撃の対象外となっていた。

クレムリンにとって、天然ガス輸出の新たな「至宝」とも言えるのが、北極海に注ぐオビ川河口に最近建設された「ヤマル液化天然ガス(LNG)プロジェクト」だ。同プロジェクトは現在、ロシアの天然ガス輸出の6割以上を占めている。当面の間、生産されたLNGの大半が引き続き欧州へ、一部は中国に向けられるが、欧州連合(EU)は来年1月以降、ロシア産LNGの輸入に関する大型契約を禁止する計画だ。

冬を控えた現時点でEUの天然ガス備蓄量が異例の低水準にあることを踏まえると、この方針の現実性には疑問が残る。他方で、ロシアのLNGタンカーに対する米国の制裁、そして何より、格好の標的となるであろうロシア北極圏の巨大な天然ガス処理施設に対するウクライナ軍の攻撃により、EUの計画の実現可能性は高まるかもしれない。

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危険性が増すロシア領空

第二に、そして何よりも重要なのは、空からの攻撃範囲がこのように拡大したことが、広い意味で何を示唆しているかという点だ。

ゼレンスキー大統領は1日夜の演説で、こう警告した。「われわれは本日、ロシアの領空を利用する全ての航空会社、全ての保険会社、そして依然として同国の主要空港を利用している全ての旅客に警告したい。ロシアの空は極めて危険な場所になりつつある」。同大統領は民間の旅客機に対して意図的に脅威を与えるものではないとしつつも、次のように続けた。「同国の空域には無人機が飛行することになるため、十分な注意が必要だ。ロシア当局は適切に公表していないが、自らが引き起こした戦争が、自国の空域を閉ざしつつあるのだ」

ウクライナ侵攻が始まると、欧米の航空会社はロシア領空の飛行を全面的に停止したが、アジア、中東、アフリカの一部の航空会社は通常通りの運航を続け、毎日数百便が同国の空域を利用している。ゼレンスキー大統領は民間航空機に対する危険性について警鐘を鳴らすとともに、ウクライナ軍の最近の長距離攻撃によって、その可能性を実証した。

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翻訳・編集=安藤清香

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