大森:八木さんは僕らの仮説についてどう思いますか。まだ仮説ベースで考えている段階ではあるのですが。
八木:4つの真ん中に何かあるのではないか、と。言語化できないかもしれませんが、市場と自分の間のアンカーポイントとなるような何かがあるのではないかと。地球の軸のような何かが。
大森:天秤に乗っている感じで、バランスが取れているとハマるというような。
花井:取材を通して思ったのは、開化堂は(1)の市場カルチャーの芽吹きを取り込む「カルチャー・アダプテーション」が特徴的だということです。
大森:僕も思ったのは、開化堂はプロダクトアウトの会社だと思っていたのですが、歴史を見ていくと、言い方はよくないですが、市場と迎合しているところがある。ですが、「ええもんを作る」というところにしがみついていたというのが新鮮でした。
花井:歴史を辿ると、皆よりも少しいいものが欲しいという時代にはじまり、皆が隣の人のものが欲しい大量生産時代は対大量生産になり、データ分析中心のマーケティング時代には数字よりも心を見つめるビジネスになっている。
大森:軸をベースに市場をうまくずらしているというか。
八木:市場の視点から見ると開化堂のものづくりは動いているように見えると思いますが、僕らの目線は変わらないという感覚です。僕らの工芸は、強いビームではなく、ほのかな光のようなものであり、見方によって変えられるという感じがあります。
大森:僕が気になったのは、(4)のところで、わかる人としっかりやる。伝えることを諦めない。自分たちがいいと思ったものをしっかりと伝えるというのは、今の時代においては結構通り過ぎてしまう概念かなと。
花井:人の集まりで、自分たちがどういう市場にいるかを見せているような気がしています。ライフスタイルとも違う、人のトーンのようなもの。「開化堂さんにはこういう人間が集まるよね」というのが、そのまま市場になっているという。多分僕らの仮説の理想はそれなんだと思いますね。
大森:マイケル・ポーターの言っている「Creating Shared Value」の意味は、和訳だと社会課題を解決する事業のようになっていますが、本来は「共有価値を作っていく」ということだと思っています。開化堂はまさに「Creating Shared Value」的な発想で仕事をされているというのが新鮮でした。
花井:簡単な言葉にすると「共感」ですが、サカナクションの山口さんをはじめみんな、共感というよりも「自分から気づいている」感じ。開化堂の言っていることに「わかります」ではなく、「俺は開化堂のこういうところがいいと思う」とみんな言っているのが面白いですね。勝手な解釈の「俺の開化堂」がたくさんある。これはすごいことです。
八木:僕はそれに対して「うんうん」って言っているという(笑)。確かにそうかもしれませんね。


