宇宙

2026.09.25 08:15

宇宙業界に激震、ファルコン9とクルードラゴン宇宙船の「退役」と予測不能な余波

(C)NASA

ファルコン9代替機の不在

クルードラゴンの退役は、ISSを運用するNASAだけでなく、民間宇宙ステーションの開発企業にも打撃を与えそうだ。それらの建設(初打ち上げ)は2030年前後に開始されようとしているが、複数の同事業者は人員輸送手段としてクルードラゴンのチャーターを予定している。また、スペースXの競合他社においても、スターライナーの事故以降は、クルードラゴンを有力な、または唯一の選択肢として捉えていたはずだ。

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ヴァスト社の単モジュール型宇宙ステーション「ヘイブン1」は、生命維持装置の大部分をクルードラゴンに依存する設計。クルードラゴンの退役により、その運用は大幅に限定される可能性がある。(C)Vast Space
ヴァスト社の単モジュール型宇宙ステーション「ヘイブン1」は、生命維持装置の大部分をクルードラゴンに依存する設計。クルードラゴンの退役により、その運用は大幅に限定される可能性がある。(C)Vast Space

しかし、適度なサイズの宇宙船をチャーターできなければ、一定期間にわたってその運用手段を失う可能性がある。なぜならスターシップによる人員輸送の実現には、またしばらく時間がかかると予想されるからだ。もしそれが早期に実現しても、数名のクルーをステーションまで送迎する用途においては、スターシップは巨大すぎ、コストが合わない。

また、ファルコン9の退役は、有人宇宙船以上に多くの商業ミッションに影響を与える。ファルコン9は2025年の1年間で計165回打ち上げられ、うち123回はスターリンクのミッションだったが、その他に29回の民間(商用)打ち上げと、13回の軍事衛星が含まれている。それら計42回の打ち上げを補完する機材としては様々な候補が挙げられるが、現状においてファルコン9と同等以上のペイロード(15~22.8トン)を持ち、同等の低コストと信頼性を実現しているものはない。

ブルーオリジンの「ニューグレン」(約45トン)は、今年5月に地上での爆発炎上事故を起こし、現在は射場の再構築を急ぐ状態にある。米ULA社の「ヴァルカン」(約11~27トン)と、欧州の「アリアン6」(約10〜22トン)は、ともに2024年の初飛行を成功させたが、どちらもエンジン周りに不具合を抱え、打ち上げ需要を十分に吸収しきれていない。

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ロケットラボの「エレクトロン」は打ち上げ回数が多く、信頼性も高いが、超小型ロケットに分類される同機の積載能力は300kg程度であり、小型衛星にしか対応できない。また、同社が開発中の中型ロケット「ニュートロン」(約13トン)は、開発遅延によってその初打ち上げが2027年に持ち越されている。日本の「H3」(約4~16トン)は1号機(2023年)と8号機(2025年)の打ち上げ失敗を乗り越え、現在は打ち上げ頻度を上げる段階にあるが、そのペースに乗るにはしばらく時間がかかりそうだ。

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