宇宙

2026.09.25 08:15

宇宙業界に激震、ファルコン9とクルードラゴン宇宙船の「退役」と予測不能な余波

(C)NASA

また、この契約には「数量未確定」という条件も付帯しているが、これは今回の契約以降も、NASAには追加ミッションをスペースXに発注する権利があることを意味する。しかし、その発注は強制ではない。スペースXがNASAのオファーに対して条件が見合わないと判断すれば、契約を結ばないこともあり得る。

advertisement

このミッションの期限とされる2030年は、現時点で予定されるISSの退役年でもある。ただし、ISSの後継機となる民間宇宙ステーションの開発が一様に遅延しているため、米議会では現在、ISS運用を2032年9月まで延長しようと法改正の手続きを進めている。しかし、議会の思惑どおりに延期されたとしても、スペースXが今後の追加ミッションの契約に応じなければ、ISSへの人員輸送において空白期間が生まれ、実質的にはISSの運用は立ち行かなくなるだろう。そうした事態に備えてNASAは今、スターライナーを改めて表舞台に引き出そうとしている。

ボーイング社の有人宇宙船「スターライナー」。(C)NASA
ボーイング社の有人宇宙船「スターライナー」。(C)NASA

ただし、NASAは2月19日、スターライナーの有人飛行テストに関する調査報告書を公開し、その飛行テストが一歩間違えれば、クルーの生命を脅かすもの(タイプA事故)だったと断定した。また、その報告書のなかでNASAは、ボーイングの「意思決定の崩壊」に関しても言及し、同社の組織的慣習を問題視した。こうした事情から、ボーイングによるスターライナーの運用を不安視する声は多い。

一方、9月15日にショットウェルCEOは、YouTubeチャンネル「オール・イン・ポッドキャスト」に出演し、「ファルコン9に搭載したクルードラゴンは、いわばミニバンのようなもの」だと述べ、火星への旅にはスターシップへの移行が必然であることを主張した。司会者が、「しかし、NASAをはじめ多くのプレイヤーがあなたのミニバンに依存しています」と問うと、ショットウェル氏は、「もう1社のプロバイダーがありますよね。ボーイングは有人カプセル(宇宙船)の開発のために、私たちより多くの資金をNASAから得ています。彼らは自分たちの宇宙船を飛ばすべきです」と語った。

advertisement

事実、2010年にクルードラゴンとスターライナーが選定されて以降、NASAはその開発援助金としてスペースXに約31億ドル(約4870億円)を支払ったが、ボーイングはそれ以上の約51億ドル(約8010億円)を受託している。

次ページ > ファルコン9代替機の不在

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事