ただ、この展覧会の特徴は顔ぶれよりもスタイルにある。森山のディレクションのもと、6組のパフォーマーが会期中に展示空間へと入り込み、作品と観客と空間の関係を刻々と変えていくのだ。「4日間にわたって展示空間そのものが時間とともに変化する、常に動きのある展覧会を目指しています」とMYAF共同代表の古後友梨は説明した。
訪れるタイミングによって、来場者が持ち帰る風景は別のものになる。「毎年のフェスティバルを完成形とは考えていない。その年に生まれた反応や課題を次の年に持ち越す。毎年開催するからこその、時代への即効性とライブ感がある」。古後はそう話す。

出演するcontact Gonzoは、人と人との接触や肉体の衝突から即興で表現を生み出してきたグループだ。今回は観客参加型の《the storm》を東京で初めて上演。メンバーと観客が波の音を声で発し、前後に身体を動かしながら、会場全体で一つの大きな波を立ち上げる。個々の声と動きが連なり、やがて集団が嵐のようにうねり始める。
涌井智仁は、都市が生み出す廃棄物と、そこに生きる人間の身体を重ね合わせた新作を発表する。人間がいなくなった未来にも、都市や物や映像は残り続ける。その視点から、生者と死者、存在と不在、見る者と見られる者の関係を描く。
さらに、古来のシャーマニズムと現代のギャル文化を結びつけた舞踏のカナキティ、「無に帰する究極の踊り」を探求するQUICK|福井貴彦、二人の顔の間に生卵を挟んで互いの呼吸に応答する《The Egg》のソー・ソウエン、環境や知覚をテーマにするハラサオリも加わる。
今、なぜ身体表現なのか。「情報や機能がどんどん均一化していく中で、文脈とか感性とか、アートの価値はもっと大きくなっていく」と、加藤は事業の原点を語った。
《the storm》の観客は、隣に立つ人の声の震えと、前後に揺れる身体の圧を受け取る。《The Egg》で卵を挟んだふたりは、落とさないために相手の呼吸を受け取る。どちらも画面越しには受け取れない。
「ようやくスタート地点」
説明会の後半、加藤は事業の話に踏み込んだ。動画メディアとフェスティバルという2つの基盤を、受託に頼らず自社のリスクで立ち上げ、6年かけてアーティストや企業との関係を蓄積してきた。
「ようやくスタート地点に立った」と言い、共同事業や戦略的な連携に加え、資本連携やM&Aも含めた「共創の連合軍」で、アートを起点とするカルチャーコングロマリットをつくると宣言した。エイベックスの社内新規事業として始まった取り組みを、グループの事業開発のロールモデルにしたいという。
行政主導の文化事業との違いを問われると、こう答えた。「世の中には、誰かにお願いされてつくっているものがすごく多い。僕たちは自分たちのリスクで、自分たちのキャリアをかけてやっている。腹のくくり方が違う」。
開幕は10月9日16時。初日に開くのはマーケットとライブで、展覧会の一般公開は翌10日から。パフォーマンスの日時は、後日発表される。


