北米

2026.09.24 15:00

老朽化進む米国の「核の三本柱」 新型ICBM配備に遅れ、設備劣化で健康リスクも

米カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地で行われた非武装の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の試験発射。2025年5月21日撮影(A1C Jack Rodriguez Escamilla, USAF, Public domain, via Wikimedia Commons)

ミニットマンの運用継続に伴う健康リスク

だが当面は、ミニットマンが現役を続行する。センチネルの配備が整うまで、米国は冷戦時代のシステムを延命させ、実戦配備可能な核ミサイルを保持し続けなければならない。

advertisement

ますます老朽化が進むミニットマンは、時の試練に耐えられるだろうか。GAOによれば、このシステムは2050年まで運用を継続する可能性がある。

しかし、2025年9月にGAOが公表した分析結果によると、運用期間の延長には化学的劣化のリスクが伴う。

「空軍当局者は、ミニットマン3が2030年以降も運用可能であり、2050年まで運用を延長できると確信していると述べた。一方で、地上の電気サブシステムや電子部品、たとえばダイオード、抵抗器、コンデンサなどが、許容できないレベルまで劣化する可能性があるなど不確定要素があることも認めた」

advertisement

今年8月、老朽化したミニットマン関連機器に含まれる有害化学物質が問題となった。ある空軍兵士がミニットマン3の通信システム試験に使用される試験発振器に付着していた有毒残留物に曝露したことがきっかけだ。この残留物にはポリ塩化ビフェニル(PCB)が含まれていたが、PCBはICBMの保守整備のため開発された旧式装備に一般的に使用されていた化学物質である。

米空軍グローバル・ストライク・コマンド(AFGSC)は各部隊に対し、当該キットの使用中止を指示。安全対策として、PCBを含有しない最新の代替キットへの切り替えを進めるとともに、有害なPCBを含んでいる可能性のある他のミニットマン3試験機器の特定に取り組んでいるとしている。

米モンタナ州のマルムストローム空軍基地で、地下サイロに格納されたミニットマン3ミサイルの整備訓練を行う空軍兵士。2025年3月3日撮影(U.S. Air Force photo by Senior Airman Mary Bowers)
米モンタナ州のマルムストローム空軍基地で、地下サイロに格納されたミニットマン3ミサイルの整備訓練を行う空軍兵士。2025年3月3日撮影(U.S. Air Force photo by Senior Airman Mary Bowers)

なぜ近代化を優先すべきなのか

米空軍は、より効果的な新型ICBM防衛システムの実戦配備に向けて大きく前進しているが、この取り組みは本来もっと早く行われるべきだった。

ここ数年間の遅れが積み重なった結果、米国の核トライアドの中核を担う要素において戦略的不利が生じ、時代遅れの兵器システムに依存せざるを得ない状況に陥っている。

ミニットマンを退役させるという差し迫った必要性は、軍事力を維持する上で、継続的な近代化と柔軟性が重要であることを浮き彫りにしている。いまや新技術の導入は、世界的な戦略的優位性を確保するために不可欠な要素となっている。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事