FPVドローンの最大の弱点のひとつは、悪天候の影響を受けやすいことである。FPVドローンを広く利用可能なものにしている特性の多くは、悪条件下では運用効率の低下や飛行不能につながる原因になる。たとえば、FPVドローンは小型で出力が限られるため、強風や雨、雪に弱い。また、大半のFPVドローンは小型の電子光学(EO)カメラに依存しており、霧や降水が問題になる。
ロシア側も、悪天候の時期にはウクライナ軍のFPVドローンの活動が低下すると報告している。その結果、前線付近で部隊を移動させる機会が一時的に生じる。安価なFPVドローンの多くは暗視カメラやサーマルイメジャー(熱画像装置)を搭載していないため、日照時間が短くなることも追加の制約要因になる。より大型の偵察ドローンや爆撃ドローンはこうしたセンサーを搭載し、より広範な条件下で運用できる可能性が高い半面、FPVドローンに比べると価格は高くなり、見つかりやすくもなる。
ドローンへの適応を進めるロシア軍
一方、ロシア軍はドローンに対する耐性を高めるため、車両の改修を進めている。プロコペンコによると、ロシア軍は現在、秋季作戦に向けて大量の装甲車両を準備しており、アクティブ防護システムやリアクティブ(爆発反応)装甲、電子戦能力、対ドローンケージ、地雷除去器具、ドーザーブレードなどを装備させている。ロシア軍はこの夏、限定的な機械化攻撃を行った際にこれらの防護のいくつかを実戦で試しており、はるかに大規模な秋季作戦に必要な要件を見極めようとしていると推測される。
こうした改修を施された装甲車両は、撃破するのが大幅に難しくなる。FPVドローンはペイロード(有効搭載量)が限られるので、対ドローン防護を施していない装甲車両であっても、撃破するには通常3~4機は必要になる。たいていは最初の攻撃で、車両を動けなくする「モビリティーキル」が行われ、続く攻撃で決定的な損害が加えられる。
7月にドブロピッリャ近くで行われたロシア軍の機械化攻撃では、「アリーナ-M」アクティブ防護システムを搭載した戦車1両が、ウクライナ軍のFPVドローン7機を迎撃したと報告されている。アリーナ-Mを装備した戦車を撃破するには、FPVドローンが従来よりも15~20機多く必要だったという。


