欧州

2026.09.23 07:00

欧州、冬を前に天然ガス備蓄量が「数十年ぶりの低水準」に

ドイツ北西部フリーデブルクの天然ガス貯蔵施設。2026年3月6日撮影(Hauke-Christian Dittrich/picture alliance via Getty Images)

ドイツ北西部フリーデブルクの天然ガス貯蔵施設。2026年3月6日撮影(Hauke-Christian Dittrich/picture alliance via Getty Images)

冬の到来を前に、欧州では天然ガス備蓄量が過去数十年で最低の水準に落ち込んでいる。2月末以降、イラン情勢の緊迫化によってホルムズ海峡経由の輸送が滞っていることに加え、カタールのエネルギー施設が損傷を受けたことで、世界の液化天然ガス(LNG)供給量の5分の1近くが事実上、市場から失われた。こうした事態に対する欧州の対応が後手に回っていることから、社会に不安が広がっている。

タイの首都バンコクで17日に閉幕したエネルギー業界最大級の国際会議「ガステック」では、複数の市場専門家が、欧州の天然ガス備蓄量は65~69%という憂慮すべき低水準に落ち込んでいると報告した。欧州の天然ガス備蓄量を約67%と推定するノルウェーの調査会社ライスタッド・エナジーは、過去5年間の平均である約84%を大きく下回っており、特にドイツは約55%と極めて厳しい状況にあると指摘した。その上で、欧州は時間との戦いを強いられていると警告した。英調査会社ウッド・マッケンジーも、欧州の天然ガス備蓄量がこの時期としては2009年以来の最低水準にあると分析している。

欧州の天然ガス備蓄量が例年の水準を下回り、入手が困難になりつつある貨物の確保を巡ってアジアと競合していることを踏まえると、欧州はこの時期としては過去20年で最も厳しい状況で冬を迎えることになるという見方が市場に広まっている。

ウッド・マッケンジーのデビッド・ルイス主席アナリストは次のように説明した。「ホルムズ海峡での供給途絶と平均を下回る備蓄量が重なり、欧州にはこの冬、事態の悪化を許容できるだけの余地がほとんど残されていない。貯蔵施設は通常、市場の衝撃を和らげる役割を果たすが、この時期としては備蓄が過去最低水準にあり、需給バランスが正常化するのは2028年以降とみられている。そのため、厳しい寒波や供給の混乱が発生すれば、その負担は価格に直接反映されることになるだろう」

最も深刻な影響を受けるのはドイツと英国

欧州の天然ガス備蓄量は通常、この時期には平均で84~85%程度となる。今冬の目標値は約80%に設定されている。

欧州の主要国の中では、ドイツと並び、英国も深刻な影響を受ける可能性が高い。英石油化学大手イネオスの創業者であるジム・ラトクリフ卿は英BBCに対し、欧州の天然ガス備蓄量が異例の低水準に陥っていることは、英国にとって向こう数カ月間のリスク要因となり得ると指摘した。「極めて厳しい寒波が襲った場合、天然ガスが底を突き、工場の操業を停止せざるを得なくなる可能性も考えられる。貯蔵施設の備蓄量は十分ではない」

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翻訳・編集=安藤清香

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