マーケット

2026.09.21 10:30

8万円でも売れるのか、ダイソン高級歯ブラシが試す「ブランドの真価」

Dyson CameraJet。Dysonオンラインショップで税込7万9800円(Dyson)

顧客がいったん値引きを待つことに慣れてしまうと、価格決定力を行使するのは難しくなる。だからこそ私は、人がロゴを認識するかどうかだけで堀を測ることは決してしない。価格が上がっても顧客が買い続けるのか、下位商品に切り替えるのか、販促を待つのか、あるいは単に去っていくのかを知りたいのである。

advertisement

ダイソンの500ドル歯ブラシが投資家に伝えること

ダイソン自体は非公開企業であり、だからこそこの実験はよりわかりやすいものになっている。CameraJetが成功しても失敗しても、株価を喜ばせたり罰したりすることはない。私たちはただ、顧客がどう行動するかを見守るだけでいい。

The Edgeでは、真にプレミアムなビジネスと単にプレミアムのような価格設定をしているビジネスとを区別しようとする際、こうしたデータこそが求める証拠である。経営陣は自社ブランドをプレミアムだと一日中語り続けることができる。私はむしろ、価格実現率、値引き、在庫、リピート購入、そして顧客がそのブランドに従って新しいカテゴリーへ移ってくるかどうかを見たい。経済性を偽装することが難しくなるのは、そこである。

投資家はカタリスト(触媒)と聞くと、買収、スピンオフ、アクティビズム、経営交代を思い浮かべがちだ。だが時に、カタリストはもっと静かにやってくる。企業が、顧客を失うことなくより多くを請求できると発見する時である。それは利益率、資本利益率を変え、報告利益に完全に効果が現れる前に、投資家が支払うことを厭わない評価額をも変える。逆もまた同じくらい重要だ。企業が「顧客は旧価格でしか買わない、あるいはさらに悪いことに値引きでしか買わない」と発見してしまうこともある。突然、誰もが永続的だと考えていた堀がずっと狭く見えるようになる。だから私はCameraJetに関心を持っている。

advertisement

私は、レビュアーがダイソンは世界最高の歯ブラシを発明したと決めるかどうかには特に関心がない。私が気にするのは、顧客が店に入り、これまでの人生でその何分の一かの値段であるべきだと思ってきた製品の横に499.99ドルという値札を見て、それでも買うかどうかだ。

もし彼らが買うのであれば、ダイソンは一つの新製品の魅力よりもはるかに大きな何かを証明したことになる。消費者はもはや単にモーター、カメラ、機械学習、エンジニアリングに対して支払っているのではないのだ。彼らはダイソンに支払っている、ということを示したことになる。

数週間前、投資家は製品に恋をすべきではないと私は主張した。その考えは変わっていない。歯ブラシ、車、靴、あるいは電話に対する私個人の熱意は、証券の価値についてほとんど何も教えてくれない。重要なのは、企業が値上げを求めた時に、何百万もの顧客がどのように振る舞うかである。

500ドルの歯ブラシは馬鹿げて聞こえるかもしれない。しかし顧客が値引きなしにそれを買うのであれば、その馬鹿げた価格こそが証拠となる。だからこそ価格決定力は、消費者向けビジネスが持ちうる最も価値ある、そして最も模倣しにくい優位性のひとつであり続けているのだ。

forbes.com 原文

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事