人間の寿命の長さには、遺伝が半分程度関係している可能性が新たな研究から示された。これは従来の推定を大幅に上回る数字だ。
双子や家族を対象とした過去の研究では、一般的に人間の寿命の遺伝率は15~33%程度と推定されていた。その後の研究で、この数値は6~16%に下方修正された。これらの先行研究では、遺伝も重要な役割を果たしているものの、食事や運動、教育、収入、医療、そして単なる偶然といった環境条件が、寿命を左右する主な要因だと結論付けられていた。
米学術誌サイエンスに掲載された最新の論文は、この見方を根本から覆した。同論文では、事故や感染症といった外的要因による死亡を除外すれば、人間の寿命のばらつきの約半分は、遺伝的要因で説明し得ることが示された。
長寿かどうかを決めるのは「半分が遺伝」
長寿に関する従来の研究では、あらゆる死亡が同等に扱われていた。つまり、事故や戦争、感染症などによる死亡と、がんや心臓病といった疾患による死亡を区別していなかったのだ。だが、これらの死亡は根本的に異なる原因で生じるものだ。外部要因によるものもあれば、個人の生物学的特性が大きく関わるものもある。今回の研究では、死因を主に2つの型に分類することで、この点に対処した。
「外因性」の死亡とは、事故や感染症、自然災害といった外部要因による死を指す。一方、「内因性」の死亡とは、加齢のほか、がんや心臓病のように体内で発生する疾患を原因とする死を指す。かつては感染症や医療体制の不備により若くして死亡する人が多かったため、遺伝子が寿命にどの程度影響を与えているのかを見極めることは困難だった。
今回の研究では、北欧諸国の双子に関する100年以上にわたるデータが分析された。統計モデルを用いて、加齢に伴う死亡率の変化を把握するとともに、事故や感染症による外因性死亡の影響を除外した。加齢や病気による内因性死亡のみに注目したところ、15歳以降の寿命の個人差の約半分は遺伝子によって説明できることが判明した。つまり、人間の寿命に対して遺伝子が果たす役割は、従来考えられていたよりはるかに大きかったのだ。
先行研究の知見が大きく変化した理由
これらの知見は、確固たる証拠によって裏付けられている。最近実施された別の研究によれば、100歳に達した米国人の場合、その兄弟もまた、長生きする傾向が強いことが示された。同様に、事故や感染症による死亡率が低下した時期に生まれたスウェーデンの双子を対象とした調査でも、寿命と遺伝の関連性が明確に示された。別の言い方をすれば、外的要因によって、寿命に対する遺伝子の影響が覆い隠されてしまうことがあるのだ。



