アップル参入は競合製品にも追い風
第2の事情は、アップルのブランドが折りたたみスマホ市場全体に与える影響だ。「アップルが折りたたみスマホを出したのだから、折りたたみ型はもう良い製品になった」という俗説が広がれば、Duoをきっかけに市場全体への関心が高まり、競合製品の認知度や販売にも波及する。iPhone Duoの発表後にGalaxy Z Fold8の販売が伸びたことは、その一例だ。
波及効果は、折りたたみスマホが普及済みの地域ほど大きい
iPhone Duoの波及効果が最も強く表れるのは、折りたたみスマホがすでに普及している地域だろう。折りたたみスマホがスマホ市場に占める比率は、中国で約5.5%、韓国で5%、北米で1.8%、西欧で1.5%、その他地域で0.5%だ。特筆すべきことに、折りたたみスマホの普及率が最も高い中国では、アップルの販売が相対的に弱い。
北米や西欧より中国を重視する可能性
アップルは北米や西欧より中国を重視すると予想する。中国、北米、西欧では、折りたたみスマホ市場自体の成長に、アップル参入による販売増が加わる。さらにiPhone Duoが競合製品への関心も高め、市場全体の成長を押し上げるだろう。
折りたたみ市場の革新はAndroid勢が6年先行
アップルは、Android勢が6年をかけて進めたハードウェアの成熟・供給網の改善・市場育成の成果が積み上がった段階でiPhone Duoを投入する。Android市場はすでに、折りたたみスマホに需要があり、その強さが地域ごとに大きく異なることを示した。形状や性能が異なる複数の製品も受け入れられている。
価格や性能を競える市場が次の方向を決める
複数メーカーが競うAndroid市場では、製品の改良と新機軸の投入が速いペースで続く。折りたたみスマホ市場がどこへ向かうかを知りたいなら、価格・品質・性能・サイズ・素材を消費者が実際に選べる市場で、どのような製品が選ばれているかを見る方がよい。
iPhone Duoの成功は、先行メーカーが育てた市場の上にある
iPhone Duoが発売後すぐに「一夜にして成功」するとしても、その土台を作ったのは、試作や製品化を重ね、競争を通じて市場を育ててきた競合メーカーと部品・素材の供給企業だ。アップルが参入を6年待ったことで、同社の利用者には折りたたみiPhoneへの潜在需要が蓄積した面もある。iPhone Duoの普及を、こうした潜在需要を超えてアップルが市場を一変させた証拠とまで受け取るべきではない。


