ロシアの1~7月期のエネルギー収入は4兆5950億ルーブル(約8兆5400億円)となり、前年同期比で16.8%減少したものの、政府が当初設定していたベースライン予測の4兆4670億ルーブル(約8兆3000億円)をわずかに上回った。だが、その安堵(あんど)も束の間だった。ウクライナ対外情報局がロシア財務省の統計を基に報告したところによると、ロシアの8月のエネルギー収入は前年同月比で16%減少し、前月比でも55%減となった。
「エネルギー超大国」ロシアの現状
こうした事態の大部分は、ロシアやウクライナの制御が及ばないところで進行している。ホルムズ海峡を巡る危機や、イランの支援を受けるフーシ派によるイエメン西岸の制圧といった出来事は、ロシア経済を救うことになった。これらの事態はロシア政府が仕組んだわけではないが、自国の利益のために混乱を長引かせ、悪化させるべく動くことは可能であり、実際そうする可能性が高い。
国際情勢がロシア国内の危機の深刻さを覆い隠していることを如実に示す例として、同国のアレクサンドル・ノバク副首相が7月に明らかにした方針が挙げられる。同副首相は国内市場を安定させるため、石油製品の輸入を開始すると発表したのだ。かつて自らを「エネルギー超大国」と称していたロシアにとって、これは決して安心できる状況とは言えない。実際、ロシアは燃料の輸出を制限し、ベラルーシ、カザフスタン、インドからの輸入を手配するなど、国内の燃料市場を維持するための措置を講じている。
プーチン大統領は8月、ウクライナ軍の無人機攻撃に対する防護が不十分と見なされる重要施設について、ロシア政府が一時的に管理権を掌握することを承認した。この措置は、燃料、エネルギー、産業、通信、輸送、物流に関連する施設を対象としている。これは、プーチン大統領が懐かしさを抱きながら志向する、ソビエト式の国家独占体制に向けた新たな一歩と見なすことができる。
冬の到来を控え、ロシアとウクライナの戦争は、どちらの側がエネルギー供給の回復力を維持できるかを競う争いとなるだろう。ウクライナにとって、それはロシアの絶え間ない攻撃にさらされながら重要施設を保護し、修復することを意味する。そのためには、ミサイルや無人機を迎撃するシステムの増強が不可欠だ。
一方、ロシアにとっては、ウクライナ軍の攻撃によってエネルギー施設が混乱する中、燃料供給を維持し、製油所を修復し続けることが課題となる。焦点となるのは、世界的なエネルギー供給が逼迫(ひっぱく)し、原油価格が上昇する中、ロシアがこうした差し迫った状態の一部を緩和することができるのか、そして西側諸国が同国にそれを許すかどうかという点だ。


