攻撃の有効性は、ウクライナがロシアの修復速度を上回る速さで損害を与え続けられるかどうかに懸かっている。ウクライナのゼレンスキー大統領は8月、シベリアのトボリスクへの攻撃を皮切りに、ロシア国内の深部を標的とした攻撃を継続する方針を明らかにした。ウクライナ軍はロシアの石油関連施設などを対象とした長距離攻撃作戦も実行している。
打撃を受けるロシアのエネルギー産業
ロシアは最近、2026年の石油生産見通しを4億9420万トン(日量約988万バレル)に下方修正した。これは17年ぶりの低水準となる。2027年には5億トンまで回復すると見込まれているものの、2026~29年にかけての予測値は、5月時点の見通しから1600万~2000万トン引き下げられた。
それでもなお、ロシアは世界の主要な産油国であり続けている。8月のロシアの石油生産量は日量平均836万バレルで、前月比で日量20万バレル、前年同月比で日量69万5000バレル減少した。
ロシアの石油精製部門の打撃はさらに深刻だ。同国の製油所の処理量は、2020~25年にかけての平均的な水準だった日量530万~560万バレルを大幅に下回り、日量約400万バレルにまで落ち込んでいる。7月にはウクライナ軍による攻撃の影響で、ロシアの製油所の処理量は日量約360万バレルと、20年以上ぶりの低水準に落ち込み、平均を約3分の1下回った。
製油所への攻撃は、統計から読み取れる数値よりはるかに大きな影響を及ぼしている。こうした施設の建設には長い時間を要し、容易に代替できるものではない。対ロシア制裁により西側諸国からの機械設備の調達が困難なため、入手先が中国に限られるものもある。こうした状況は、ロシア産原油の精製に応じる限られた買い手、特に中国やインドへの依存を強いることになり、ロシアの国際社会での孤立が深まる結果となっている。
世界的なエネルギー危機がロシアを救う
ロシアの石油生産量は大幅に減少しているものの、中東情勢に起因する世界的なエネルギー資源の供給不足が、同国に思わぬ利益をもたらしている。国際エネルギー機関(IEA)は、中東情勢の混乱が続くことで、2027年の世界の石油供給量は日量570万バレル減少する一方、需要は日量260万バレル増加すると予測している。
ロイター通信によると、原油価格の上昇を背景に、ロシアの7月のエネルギー収入は前年同月比60%増加したとみられている。同国の2026年度予算案では、エネルギー収入は8兆9200億ルーブル(約16兆5800億円)になると見込まれており、昨年の8兆4800億ルーブル(約15兆7600億円)をわずかに上回る見通しだ。とはいえ、原油価格が上がり続ける中でも、同国のエネルギー収入の減少傾向が上昇基調に転じたわけではない。


