新規事業

2026.09.25 11:45

「社会課題解決のためだけ」で売上100億円超え。ボーダレス・ジャパンの「稼げる理由」

福岡・天神のボーダレス・ジャパン本社「ソーシャルベンチャーパーク」にて(筆者撮影)

 「なんのために、その事業をやりたいのですか?」

━━ 現在、多くの大企業や既存組織が「新規事業の創出」という課題に対して、「なかなかうまくいかない」「メンバーのモチベーションが維持できない」といった悩みに直面しています。次々に新規事業を生み出しているボーダレスからアドバイスするとしたら、どんなことを言いますか? 

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世界中からグループ会社の代表が集まって行う「世界会議」の模様(田口さん提供)
世界中からグループ会社の代表が集まって行う「世界会議」の模様(田口さん提供)

田口:極めてシンプルにお答えするならば、「そもそも、それをなぜやりたいのですか?」という問いに尽きると思います。

大企業の新規事業がうまくいかない最大の原因は、その事業を始める「動機」のズレと、「サイズ」から逆算してしまうアプローチにある気がします。

私たちはまず「社会に取り残されている重大な課題」を発見することからスタートします。すでに誰かが取り組んでいて、市場メカニズムでうまく回っている領域には、私たちは関心を持ちません。私たちの存在価値は、誰も手を挙げていない、しかし社会にとって間違いなく必要な「取り残された領域」を担うことにあります。そして、事業を実際にスタートさせるかどうかの判断基準は、綿密な市場調査や売り上げシミュレーションではなく、ただ1つ「この課題を、どうしても、自分の手で何とかして解決したい」という強い意志を持った挑戦者がそこに存在するかどうか。それだけなんです。

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━━いやあ、やっぱりまっとうだ。

田口:これに対して、一般的な企業での新規事業の検討プロセスは、ほとんどの場合「自社の既存事業だけでは将来の売り上げや利益を維持できなくなる。だから、数年後に何十億、何百億円の売上の柱となるような新規事業を創り出さなければならない」という、「自社の都合(内向きの動機)」からスタートします。しかし、人間のモチベーションを考えるなら、「自社の売り上げ目標を達成するために事業を創る」という動機と、「目の前で困っている具体的な誰かをなんとかしたくて、本当に必要とされているものを自らの手で創り出す」という動機では、生み出されるエネルギーの質が根本的に異なります。前者は、少しの困難や壁に直面すると「戦略的に見合わない」と容易に撤退しますが、後者は、課題が解決されるまで決してあきらめずにやり抜きます。

━━社会の必要性と個人の「なんとかしたい」「助けたい」という気持ち。その原点に立ち返ることが大切ということですね。やっぱり「まっとうさ」を感じます。おもしろいお話、ありがとうございました!

田口:こちらこそ、ボーダレスの歩みを引き出していただき、ありがとうございました。こういう話をすると「きれいごと」と言われることもありますが、大人がきれいごと言わずにどうするんだ!と思ってます。

【取材を終えて】

心に残ったのは「それを、なんのためにやるのか」という問い。「会社の売り上げのために」ではなく。「それが社会に必要と信じるから」「それをどうしてもやりたいから」。出島組織サミットの由来となった長崎の出島は、25人の町人たちが自主的にお金を出し合ってつくられたものです。鎖国の時代に、日本と海外をつなぐ人工の島をつくる。そんな大胆なチャレンジはさぞ困難で、さぞワクワクしたでしょう。あなたの「やってみたい」を見つめるためにも、一度、長崎の出島を訪れてみませんか。

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