減速で得た時間を解釈可能性の研究にあて、安全なモデルを作る
提案されたこの3段階のそれぞれを細かく読み解くのは、読者にお任せしたい。アモデイが「結論(bottom line)」と呼ぶ締めくくりは次のとおりである。
「AIが人間の生活の質を大きく高めうるという考えは、現在も変わらない」と彼は書く。
「その恩恵を実現したいという思いは、少しも薄れていない。しかし恩恵が手に入るのは、正しいやり方でこの技術を作った場合に限られる。そして、そうして得た時間を私たちがうまく使うかぎり、間違えずにやり遂げるために並外れて慎重になることには意味がある。
それでも進歩は比較的速いままであり、その時間を使って、解釈可能性(interpretability。AIモデルの内部で何が起きているのかを人間が読み解く研究)の科学を進め、最先端のAI企業における運用上のセキュリティと厳格さを高め、方向づけにもっと自信の持てるモデルを作ることができる。
安全なペースでフロンティアを進めるために私が提案する施策は、簡単なものではない。それでも、試みることは人類に対する私たちの責務だと信じている」。
容易ではないと認めるアモデイ、進歩は依然として速いと繰り返す
こうした取り組みが簡単ではないとアモデイ自身が認めている点は、重要だと思う。そして、進歩は「それでも速い」と、批判者になりうる人たちに何度も念を押しているのも興味深い。冒頭と末尾では、自分たちで作り出したこの時間で何ができるのかを、丁寧に説明してもいる。
これから何が起きるのかを、ここまで筋道立てて語れる人ばかりではない。多くの人がダリオの言葉に耳を傾けてほしいと思う。実際の経験という点で、彼には裏づけがあるのだから。


